T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

試験結果の分析

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

前回は私の試験結果の履歴について書きました。今回は科目ごとに何が合否の要因となったか私の反省点を書きます。

 

1. 簿記論

簿記論の1年目は市販のテキスト・問題集のみを使用した完全独学でした。税理士試験に対する覚悟が足りず、簿記検定の勉強の延長でなんとかなるだろうと甘く見ていました。税法と異なり市販の教材でも内容の理解の点では問題なかったと思いますが、完全に演習不足だったと思います。結果C判定で不合格でした。2年目は演習不足を補うため1月からTの資料会員になりました。私の経験からは、9月からTかOの講座を受講し多くの演習をこなすのが最も効率的ではないかと思います。

 

2. 財務諸表論

財務諸表論は年明けからTの講座を受講し1年目で合格することができました。1科目だけみると年明けからでも十分合格可能と思えますが、私は年明けからではなく9月から予備校の講義を受講することをお勧めします。財務諸表論では理論の理解と暗記が重要です。財務諸表論1科目であれば年明けからでも十分合格可能です。しかしながら、簿記論と財務諸表論は同時受験が最も効率が良いことを考えると、年明けに財務諸表論の理論に時間を取られすぎると簿記論の学習が疎かになります。簿記論と財務諸表論のバランスをとるためにも財務諸表論は9月から学習を開始し余裕をもって理論学習を進める必要があると思います。

 

3. 法人税法

法人税法の1年目は簿記論の2年目と重なっていました。働きながら法人税法と簿記論を学習するのは質・量ともに厳しいものでした。簿財を1年でクリアできず簿記論が残ってしまったことが法人税法の学習に大きな影響を与えたと思っています。

法人税法の1年目はTの基礎マスターコース(9-4月で試験範囲を1巡するコース)を受講しました。週2回の講義で働きながらでしたが、なんとかついていったとは思いますが、上級コースの論点や組織再編、グループ税制、連結といった後半の論点にまでは手が回りませんでした。6月の公開模試後にネットを調べるうちに後半の論点がその年の理論の本命の論点であることがわかり、そこから集中的に学習しました。本番でも集中的に学習したところが出題されましたので、自己採点はボーダー付近となり合格を期待したのですが残念ながら判定はAで不合格でした。理論はある程度間に合ったのですがその分計算の精度が十分でなかったのが不合格の原因と思います。

税法は基礎期、応用期、直前期と学習範囲を3巡する必要があると思います。そのため、1年で合格するためには年内基礎+上級コースを受講すべきと思います。ただし、基礎期の講義は週3回となるので働きながらカリキュラムに付いていくのは簡単ではありません。

 

4. 消費税法

消費税法の1年目は法人税法の2年目と重なっていました。法人税法の反省を生かし9月からTの年内完結+上級コースを受講しました。週1回の講義ですし年内は特に問題なく予備校のカリキュラムについていけました。とはいえ、年内は理解が追い付いているという程度で計算や理論暗記が完璧になっているような状況ではありませんでした。法人税法の不合格が判明して年明けからは消費税法法人税法の同時学習となりました。法人税法はAで不合格になっておりどうしても2年目で合格したかったので、法人税法を重視することとなり消費税法の学習が手薄となってきました。当時は、簡易課税の出題頻度が少なかったことから簡易課税については精度が低い状態で本番に臨みました。本番では今では主流となっている原則・簡易の2題形式で出題されました。簡易課税の計算問題はきちんと勉強していれば満点がとれるような問題でしたが、いくつか取りこぼしがありました。これ以外にも全般的に精度が低く自己採点通り不合格(B)となりました。捨てる部分があると合格は難しいというのが1年目の消費税法から得た教訓です。

 

5. 相続税法

相続税法は4科目合格後、仕事の都合などでしばらく期間が空いてから受験しました。1年目はTの年内完結+上級コースを受講しそれなりの完成度で本番に臨んだつもりでしたが、全般的な実力不足で不合格(B)となりました。2年目は年明けからTの上級コースを受講しました。1年目よりは実力がアップしている気はしていましたが、法人税法消費税法の2年目ほど突き抜けた感じがなく、こちら記事でも記載したとおり受験生のレベルの高さを実感しました。また、改正論点の一つを計算に関係ないマイナー論点だと自己判断して暗記を疎かにしてしまいました。答練でもべた書きで1度出題され、講義でも軽く解説された程度でした。本番ではその改正論点が出題され、その論点が解答項目とすら気づかずに試験を終えました。予備校の解答速報を見て愕然としました。計算は前年よりは出来たと思いますが、理論で大きな失敗をしており当然不合格(B)でした。

改正論点はどんなにマイナーだと思ってもきっちり暗記する必要があるというのが2年目の相続税法から得た教訓です。

 

6. 事業税

事業税はこちらの記事でも記載したとおり、どうすれば合格レベルに達するかよくわかりません。私が受験した時は現在の配点と異なり理論70点、計算30点でした。理論は速記試験で柱は分かるものの書ききれず、どの程度省略すればよいか分かりませんでした。計算は基本的には難しくないのですが2,3か所迷うところがあり、受験者数の少なさやレベルの高さを考えると、間違えるわけにはいきませんでした。

学習範囲は狭いものの、予備校のカリキュラムでも計算演習は不足し、どこが合格レベルかわからない科目との印象です。事業税を選択しない方が良かったのではないかと思います。

 

7. 国税徴収法

国税徴収法はコロナを機に最後5科目目のピースを埋めようと気合を入れて臨んだ科目でした。これまでの教訓を生かした集大成となりました。

国税徴収法は一般的にはボリュームが少なく年明けから学習を開始しても合格が可能といわれています。私はこれまでの教訓と絶対に1年で合格したかったため、9月からTの年内完結+上級コースを受講しました。これは成功だったと思います。国税徴収法の詳細はこちらの記事に記載していますが、想像していたより理論の量が多かったことと、理論間のつながりが強く年内で学習範囲を一巡することで理解が深まり理論暗記の余裕も生まれました。

しばらく出題されていなかった配当問題もしっかり学習しました。本番でも出題され、苦戦する受験生も多いようでしたが私は最終値まで合わせることができました。理論も自己判断をすることなく漏れなく暗記し、趣旨もテキストに載っているものは暗記し十分な準備をし、1年で合格することができました。

国税徴収法は計算こそありませんが、私のこれまでの受験経験の集大成となる結果になりました。

 

不合格となった科目はその原因を分析し、翌年の学習に生かして2年で必ず合格するということが重要だと思います。

 

今回はここまでになります。参考になればうれしいです。

自己採点と税理士試験の結果

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

2022年11月30日が税理士試験の合格発表です。例年より10日から2週間程度早まっています。試験から合格発表までが長すぎるので、期間の短縮は良いことと思います。

今回は私の自己採点と本番の結果を振り返りたいと思います。自己採点の記録は残っていないのでおおよその記憶です。また、点数が開示されていない時期から受験していますので不合格の結果は記号で統一しています。

 

ご覧の通り12回受験して5勝7敗です。

合格した時は本番が終わった時点で手応えがありました。各予備校の解答速報を簡単に確認しただけで合格を確信し、結果もその通りとなりました。

不合格だった時はどう甘く採点してもボーダーに届くか届かないかといった出来で、結果も自己採点通り不合格でした。唯一惜しかったかなと思ったのは法人税法の1回目ぐらいです。私の場合、自己採点と結果は一致しており、逆転で合格したという経験はありません。

 

不合格という結果にはそれなりに理由があります。後から振り返れば当時何が足りなかったかは良くわかります。私は短期間で5科目合格をすることこそが最も重要と思います。お金をかけずに合格した科目があったり、年明けから勉強を開始して短期合格をした科目がある人もいると思います。それは素晴らしいことですし、自慢したくなる気持ちは理解できますが、その合格には多くの運の要素が含まれていると思います。資格試験は結果が全てなので運に助けられたとしても合格さえすればそれでいいのですが、本気で4,5年程度の短期間で官報合格を目指すのであれば、運の要素がなくても合格できる方法をとり、本番までに合格レベルに確実に達するような学習計画をたてることが重要と思います。

 

私は、簿記論は1年目は市販のテキスト・問題のみの完全独学、2年目の1月からTの資料のみ受講して合格しました。財務諸表論はTの1月からのコースで1年目で合格しました。これだけを見るとコスパがいいように見えます。こちらの記事でも書いていますが、簿財を1年で合格できなかったことが後々のキャリアに影響しており、必ずしも良い方法ではなかったと今では思っています。そのため、簿記論は独学でも合格可能であるとか、財務諸表論は年明けからでも合格可能などと、私はたまたま上手くいったものの長期的には必ずしも良い方法ではないと感じたことをこれから学習する人に勧めるようなことはしません。

短期合格を目指すには、王道である9月から予備校のカリキュラムをこなすことをお勧めします。これが時間的にも金銭的にも最も効率が良いと思います。

 

学習計画については過去にもいくつか記事を書いていますので参考にしてください。

社会人が税理士試験に合格するための目標年数と撤退ポイント - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

税理士試験の複数科目の勉強について - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

税理士試験は最初の2年が重要 - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

 

次回は科目ごとの私の不合格の分析について書きたいと思います。

今回はここまでになります。参考になればうれしいです。

履歴書はきれいに

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今回は試験からは離れて履歴書はきれいにすべしというお話です。このブログのターゲ

ットは社会人で、簿記や税理士試験の勉強をしつつ転職もしてキャリアアップを考えている人も多いのではないでしょうか。

これまでのいくつかの記事で触れていますが、私も働きながら税理士試験の勉強をし、かつ、途中で転職もしました。また、私は採用する立場で履歴書を見ることもあります。それら経験をもとに履歴書をきれいにすることの大事さを書きたいと思います。

 

税理士試験長期化の要因 - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

税理士試験受験生の転職 - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

5科目合格までに年数がキャリア形成に影響する - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

 

1. 中途採用の評価ポイント

一般企業の中途採用のプロセスは通常、履歴書での書類選考後、面接を数回行い、双方が合意して採用となります。新卒採用・第二新卒採用とは異なり、エントリーシートや志望動機を書かせるケースはあまりないと思います。

最初のステップは履歴書となりますので、きれいな履歴書で採用担当者にアピールすることが大事となります。では、きれいな履歴書とは何でしょうか。今どき手書きで履歴書を書くことはないので、当然ながら「字がきれい」ということではないです。履歴書には通常、出身大学や働いた会社の略歴を記載する履歴書とこれまでの仕事の詳細を記載する職務経歴書があります。職務経歴書が重要で、自分が何をやってきたか、どんな知識・経験があるか、どんな実績を上げたかを職務経歴書で採用者側にアピールする必要があります。

 

(1) 一貫したキャリア

転職で重要なポイントは応募している仕事に関連した仕事をどれだけ経験しているかどうかとなります。関連する資格を取得していればプラスの評価となります。一方で、応募している仕事に関係ない仕事はキャリアとして評価されません。

例えば、税理士事務所への転職を考えていたとします。税理士事務所や会計事務所での勤務経験があれば評価さるでしょう。企業の経理部門の経験も評価されるでしょう。企業の経理部門での経験はなくても、経理や会計処理に関与するような業務経験があれば評価ポイントになるでしょう。もちろん、簿記の資格などのプラスになると思います。その一方で、経理や会計と関係ない業務については、いかに実績をあげていてもほとんど評価されないでしょう。

私も採用側で履歴書を見ることがありますが、募集している仕事と関連がない職歴はほとんど評価しません。関連する業務経験がどれだけあるか、その経験を生かしてどのような貢献をしてくれそうかで判断しています。

採用する側は明確な目的をもって募集しており、募集している業務に関連した知識や経験を持った人を求めています。転職をして仕事の内容を変えるとしても、私は転職前後で関連性の強い仕事を選び、なぜ、その仕事や会社を選んだか、それによりどんな知識・経験を積めたか、自分のキャリアをストーリーをもって話せるようにした方がよいと思います。様々な職種を経験するのも良い経験かもしれませんが、採用する側の観点からはあまり評価されないかもしれません。

 

(2) 短期転職と転職理由

転職経験自体は中途採用の採用側からみて問題ありません。採用側が気にする点は短期転職と転職理由です。採用側はそもそもの募集が短期である場合を除き、ある程度長期的に活躍してもらうことを期待しています。1,2年で転職を繰り返している人は敬遠されます。肉体的・精神的に限界を迎えたり、自分の成長の妨げとなったりするような職場に長く留まる必要はありませんが、短期転職を繰り返すと応募者自身に問題があるのではないかと評価されてしまいます。

過去の転職理由には採用側が納得できるものが必要です。転職理由はお金やポスト、業務内容、会社の業績、プライベートの事情などいろいろあると思いますが、採用側が納得できる理由であれば問題ありません。

転職する際にはこれからのキャリア形成のことを考え、なぜ転職するのか転職理由を明確にして転職すべきと思います

 

(3) 出身大学

中途採用では、第二新卒扱いのポテンシャル採用の場合を除き、出身大学名はほとんど関係ないと思います。職務経歴が重要で、何をやってどんな知識・経験があるか、それをどう生かしてくれるかを採用者側は見ています。

私も採用する側で履歴書を見る際に、大学・大学院で何を専攻したかでその人のバックグラウンドを確認しますが大学名自体は見ても記憶に残りません。面接でも若い人の場合は、大学・大学院で何を学んだか話すこともありますが、ある程度のキャリアを持った人の場合、大学・大学院の話をすることはありません。それよりも業務に関連することで聞きたいことが沢山あります。

 

2. 公務員の中途採用

公務員の中途採用の場合、一般企業と少しプロセスが異なります。私の経験したケースに限定されますが、履歴書・職務経歴書の提出とともに、志望動機や採用されたらどんな貢献ができるかなどエントリーシートのような書類の提出を求められます。また、大卒時の公務員試験と同じような内容の英語、国語、数学(算数?)、理科、社会などのペーパー試験がある場合もあります。履歴書等による書類審査、ペーパー試験を通過すると面接となります。その後は数回の面接を経て双方合意したら採用と一般企業と同じです。

 

社会人としてのキャリア形成を考えたときにきれいな履歴書というのは重要だと思います。きれいな履歴書とは、職務経験や転職理由などが首尾一貫していて自分のキャリアをストーリーをもって語れるものだと私は思います。

 

今回はここまでになります。参考になればうれしいです。

税理士試験出題のポイントの活用

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今年も税理士試験のポイントが公表されました。

令和4年度(第72回)税理士試験出題のポイント|国税庁

国税審議会が問題の誤りを認めた固定資産税については、「本問の採点に当たっては、受験者の不利とならないように配慮することとしています。」と先日公表した文書と同じ記載にとどまっていました。予想通りの塩対応です。

 

1.  出題のポイントとは

出題のポイントとは、毎年10月に国税審議会が科目別・問題別に税理士試験で何を問うていたか出題の意図を公表するしているものです。問題を作成した試験委員が作成しています。採点基準や配点は公表されません。

出題のポイントは出題者からのメッセージなので読むことをお勧めします。残念ながら試験委員によって記載の粒度が異なります。簡潔な記載の場合はほとんど参考になりませんが、詳しく書いている場合には参考になります。試験委員が何を問うていたのか、受験生は何を答えるべきかわかります。理論の回答の柱を理解するのに役立ちますし、計算でも処理に迷うような問題に言及があることがあります。

 

2. 出題のポイントの使い方

(1) 受験した科目

受験した科目については理論を中心に出題のポイントを確認するとよいでしょう。自分の解答が出題のポイントと一致していれば、合格の可能性が高くなります。

予備校の解答速報はたまに出題のポイントを外していることがあります。その場合に、自分の解答が出題のポイントとあっていれば、予備校基準での採点にかかわらず合格の可能性が高まります。ボーダー以下で合格するときは、このようなケースが多いのではないかと思います。

 

(2) 学習中の科目

学習中の科目は、出題のポイントを活用して、過去問の理論を解いてみることをお勧めします。

過去問は近年の試験分であれば国税庁のサイトでも公表されています。模範解答は予備校のテキストに載っていると思います。また、受験生の多い科目であればウェブ上で各予備校の模範解答を見ることが可能です。

 

出題のポイントを活用して過去問を解く目的は、柱上げや解答の論理構成が出題のポイントに沿っているかを確認することです。暗記の精度の確認ではないのでテキストを見ながらで構わないと思います。

税制改正によりあまり古い問題は模範解答が現行の法律とことなる可能性がありますので、3-5年分ぐらいで十分と思います。

 

これをやる時期は、柱上げの訓練の一環として学習が1~2巡した4月から5月のGWぐらいの時期が良いと思います。全体像を理解しないうちに本番の難しい問題を解いても意味はありませんし、逆に直前過ぎても対策を講じる時間がないと思います。

暗記と柱上げや理論のあてはめのバランスを把握し、直前期に何に力を入れて学習すべきか体感できるのではないかと思います。

 

出題者の意図に沿った解答をすることが合格への近道と思います。出題のポイントを活用した本番を意識した学習は非常に効果が高いと思います。

 

今回はここまでになります。参考になればうれしいです。

5科目合格までに年数がキャリア形成に影響する

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今回は、5科目合格までの年数がキャリア形成に影響するというお話です。

 

私は、時間はかかったものの税理士試験に合格できたので、忘れないうちに学習中に考えたこと・感じたことをまとめておこうと思いこのブログを書いています。

私は、2022年現在まだ金融関係の会社で会社員として働いています。せっかく試験に合格したのですが生かしていない状態です。

試験合格を生かせていない最大の要因は、合格までに時間がかかってしまったからだと思います。

 

税理士資格をどのように生かすかキャリアプランによりますが、とにかく早期に5科目揃えることが重要です。お金や時間があるのであれば大学院に通ってもいいと思います。

 

1. 長期化した理由

私は働きながら11年掛かけて官報に合格しました。30代前半で税理士試験の学習を開始し4科目までは順調に4年で合格することができました。ここまでは順調に見えますが、後から振り返ると4年もしくは5年で5科目合格できなかったことが長期化の大きな要因になったと思います。

 

(1) 簿財

私も多くの受験生と同様に日商簿記2・3級からスタートし簿財に進みました。金融関係の仕事をしていたので簿記や会計にはなじみがあり内容はとっつきやすかったです。会計基準もごく一部ですが仕事で読むことがありますので、財務諸表論の理論も暗記はともかく内容の理解が難しいということはありませんでした。

税理士試験を安易に考えており、また、長期的な計画を考えていなかったため、1年目の簿記論は独学、財務諸表論は1月からの速習コースで学習しました。

1年目は財務諸表論が合格、簿記論は不合格でした。簿記論は翌年に合格するのですが、税法の学習に影響を及ぼすことになります。1年目に2科目合格できなかったことが1年の遅れを生んで後々大きな影響を与えます。

私のこの経験が、最初の2年が重要という記事を書いたり、簿記論でも財務諸表論でも9月からの予備校の活用をお勧めしたりしている理由です。

 

(2) 転職

4年で4科目合格後、転職しました。正直あと1科目なのですぐに合格できると思っていました。ところが、転職先の仕事が忙しく、また、仕事に慣れるのに労力や時間を費やしたため学習時間を確保することが難しくなりました。会社員として給料をもらっている以上、仕事をおろそかにするわけにはいきません。こちらの記事でも書きましたが転職後に試験勉強を継続するのは容易ではありません。学習時間が確保できるうちに一気に5科目揃えることが肝要と思います。

 

(3)  モチベーションの低下

数年して仕事が落ち着いたので試験勉強を再開しました。自分としてはこれまでの学習経験を生かしてしっかりと勉強したつもりでしたが、2年連続で不合格でした。仕事の内容・人間関係・待遇に特に不満はなかったので、税理士試験に取り組むモチベーションが低下していたのではないかと思います。その後また試験勉強から離れます。こちらの記事でも書きましたがモチベーションの低下も長期化の大きな要因です。モチベーションが高いうちに合格するというのが重要です。

 

(4)  5科目目の合格

5科目目に再度挑戦した理由は、1科目合格していないことが引っかかっておりとにかく5科目揃えたかったこと、コロナでプライベートの予定が入らなくなり学習時間が確保できるようになったためです。ここで5科目揃えなければ一生無理と思い手を抜かずに勉強し5科目目に合格することができました。やはり、モチベーションは重要だと改めて感じました。

 

2. キャリアへの影響

私は、4,5年で5科目合格していたら税務・会計の経験を積む方向にキャリアチェンジし、今のキャリアとは随分違ったものとなっていたかもしれません。現在、金融関係の仕事でそれなりの経験を積み、今の会社で責任ある仕事を任されていますのでキャリア形成は上手くいっているとは思っています。

ただ、せっかく時間やお金をかけて5科目合格しても直接的に活用できていないのはもったいないような気がします。社内の経理部門に異動して活用するという方法はあり得ますが、それ以外には今転職してキャリアチェンジするというのは年齢や待遇を考えると現実的な選択肢ではない気がします。

 

このように、合格までに何年かかるかによってキャリアに影響すると思います。

とにかく早く5科目揃えましょう。

 

今回はここまでになります。参考になればうれしいです。

大学入試も税理士試験もお金次第!?

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

マツコデラックスさんがテレビ番組で国立大学には一定数所得制限をかけたらどうかとの発言をして話題になっています。合意形成が難しいので所得制限の実現可能性は低いと思いますが、今回は、大学受験や税理士試験とお金の関係について書きたいと思います。

 

1. 東大生の親の収入

東京大学が実施している学生生活実態調査2020年度版によると、親の年収が1,050万円以上の割合が42.5%、950万円以上の割合は53.9%となっています。回答数は約1,000で東京大学の学生数が約14,000人なので、サンプル数もそれなりにあります。

日本人の平均年収は400万円台半ばあたりなので、東京大学には高収入層の子供が入学していると言えそうです。

 

2. 高校別の東大合格者ランキング

高校別の東大合格者ランキングを見てみると以下のようになります。

 

(1) 団塊世代

1965年は第二次世界大戦後の第一次ベビーブーム世代(団塊世代;現在は70代半ば~後半)が大学を受験した時期となります。この頃は都立高校が上位を占めています。戦争で戦前のヒエラルキーや制度が一度リセットされてしまったので、スタートラインが概ね同じだったと思われます。皆が総じて貧しく当時の受験生の親世代の収入格差も少なかったのではないかと思います。

 

(2) 団塊ジュニア世代

1990年は第一次ベビーブーム世代の子供である第二次ベビーブーム世代(団塊ジュニア)が受験した時期となります。

この時期になると公立高校はトップ10のうち1校にとどまり、東大合格には親の収入が必要条件になってきているようです。

 

【受験の激化】

団塊世代からの変化の要因としては、都立高校の改革により都立高校が凋落した面もありますが、それだけではないと思います。

1960年代後半から1970年代にかけて受験世代の人口増加や大学進学率の増加によりメディアで「受験戦争」と呼ばれるほど大学受験が激化していきました。

都心部では1970年代後半から中学受験も広まっていきます。日能研四谷大塚などの中学受験塾はこの頃から業務を拡大しサービスを高度化しています。

 

【受験のビジネス化】

私立中学・高校、大学受験や中学受験予備校の発展は、団塊世代が自らの経験で獲得したノウハウをビジネス化したものといえると思います。

団塊世代は限られた情報をもとに試行錯誤して受験に取り組みました。これを体系化しビジネスとして第三者に提供するようになりました。非常に有益な情報・ノウハウで、これなしでの合格は難しくなりました。

 

【教育格差】

団塊世代が社会の中心で活躍し始め、学歴による収入差がつきくようになり、「学歴信仰」や「学歴差別」といった言葉も出てきた時期でした学歴の重要性を感じた団塊世代は、収入の拡大もあり自分の子供(団塊ジュニア)の教育に力を入れていきます

受験のノウハウが蓄積されビジネス化されるにつれ、お金を払ってノウハウを獲得する必要がでてきました。

こうして、親の収入・教育力が大学合格に重要な要素となっていったと考えられます。

 

(3) 現在

2020年は団塊ジュニアの子供が受験をする時期です。晩婚化していますので30年後で比較しました。2020年になっても私立高校内での変動はありますが、私立優位の状況は変わっていません。80年代後半からのバブルとその崩壊、2008年のリーマンショックなど景気変動はありましたが、日本の社会制度は概ね安定しており、戦争前後のような大きな変化は起きていません。これまでのノウハウの積み上げが有効ですし、ノウハウの獲得のためにはお金がかかるという状況は変わっていません。

とりわけ都心部においては、ますます教育の開始時期が早まり、かつ、費用も増加しているようです。

 

3. 税理士試験の費用

税理士試験に掛かる費用についてはこちらにも記載していますが、5科目合格でOかTなら最低100万円程度かかります。院免の場合では、大学院の費用150-200万円+簿財と税法で50万円程度の合計200-250万円かかります。

 

税理士の資格を取得して収入を増やしたいというのも一つの動機と思いますが、収入を増やすために初期投資のそれなりの金額必要というのも何だかつらいものがあります。

 

4. お金は必要条件

大学受験にしろ資格試験にしろ、ノウハウをお金で買わなければ勝負になりません。お金は試験合格のための必要条件となっています。(ある程度)お金がなければ試験に合格はできないですが、お金があれば試験に合格できるものではありません。図で表すとこんな感じです。

受験ビジネスがこれほどまでに高度化してしまっている以上、ノウハウをお金で買わざるを得ません。個人でできることには限界があります。多くの人が長年かけて積み上げてきたものと同程度のノウハウを個人で短期間に獲得するのは容易ではありません。

 

昔は大学進学や資格試験(公務員試験を含む)は収入を増やすための逆転の手段の面もあったと思いますが、お金がないと大きく後れをとってしまいます。

身も蓋もない結論ですが仕方ないところです。

 

今回はこれまでとなります。

基礎期の学習

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

9月になり予備校の講義も本格化しています。今回は基礎期(9-12月)の学習について記載したいと思います。基礎期の過ごし方については、こちらの年間スケジュールの記事でも触れていますが、もう少し詳しく書きたいと思います。

 

ターゲットは、簿財同時受験の1年目、税法の1年目の受験生となります。また、年内完結を前提としています。

 

1. 予備校のカリキュラムの消化

基礎期に限りませんが、まずは予備校のカリキュラムに遅れずに付いていくことが重要だと思います。

TやOの場合、簿財同時学習では簿記論と財務諸表論が各週2回で合計週4回、法人税所得税は週3回、消費税は週1回の講義となっているようです。

法人税所得税週3回の講義は厳しいです。年間スケジュールの記事でも書きましたが、年内で学習範囲を一巡しなければ1年で合格するのは難しいのではないかと私は思います。

サイクルとしては、①講義を受ける、②トレーニング等で復習する、③予告理論の暗記をする、④次の講義・テストを受けるとなります。これらを予備校のスケジュール通りにこなさなければなりません。基本的なスケジュールは応用期・直前期でも同じですのでこのサイクルでの学習に慣れる必要があります。

簿財については、②の復習は簿財で重なる部分は少し省略してもいいと思います。

働きながら学習する場合、必ずしも毎日同じように勉強できるとは限りませんので、週末にまとめて学習するなど1週間単位でカリキュラムを消化できるようにしましょう。年末年始に遅れを挽回するチャンスはありますが、あまり遅れると応用期に入るための復習ができなくなるので1週間程度の遅れにとどめるようにしましょう。

 

2. 計算と理論の配分

私は、基礎期は計算8割、理論2割の配分でいいと思います。基礎期は計算を重視し、計算のトレーニングは全てこなして基本的な計算パターンは基礎期に習得しましょう。理論は計算に関連する部分を予備校のカリキュラムに沿って理解を重視します。予備校の講義でも計算に関連する項目を優先して解説があり、細かい手続や独立した論点は後回しになっていると思います。ミニテストや実力テストの予告理論はなるべく覚えて試験に臨んだ方がいいのですが、暗記が難しければ理論暗記は後回しでもいいと思います。

まずは、計算を固め、理論は理解重視で良いと思います。

 

基礎期は学習内容はそれほど難易度は高くないのですが、初学者にとっては進度は早いので計算を中心に予備校のカリキュラムに付いていって学習のペースをつかみ基礎を固めましょう。

 

今回はこれまでとなります。