こんにちは、T-アレックスです。
このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。
73回税理士試験の感想をこちらとこちらの記事で書きました。今年の試験問題を見てみると素読みと時間配分の重要性を改めて認識しました。
私は、時間配分や問題の取捨選択が合否のカギを握るような問題はどんな試験でも不適切だと思います。時間内に解ききれる分量にするか試験時間を長くするべきです。
しかしながら、現実問題税理士試験では時間配分が重要なのでそれを意識して学習する必要があります。今年の試験問題の時間配分について振り返ってみます。
1. 第73回の試験問題の時間配分
(1) 簿記論
簿記論は第三問でいかに解ける問題を拾っていくかがカギとなります。第一問と第二問は年によって難易度にばらつきがあるので取捨選択が難しいです。第一問と第二問をなるべく早く済ませ、できる限り多くの時間を第三問に費やすのが基本戦略となります。自分の得意分野から解き始め、早めに1か所でも2か所でも正解を出して勢いをつけるのが良いと思います。
今年の第一問、第二問は特殊仕訳帳、ソフトウェア、外貨建取引でした。特殊仕訳帳は忘れている受験生も多かったでしょうし、ソフトウェアもちょっと捻った感じの問題で、外貨建取引は苦手な受験生も多くまた分量も多かったです。どの問題から手を付けるか、判断は難しかったと思います。問題の難易度が高かっただけでなく、時間配分の点でも難しい問題だったと思います。
(2) 財務諸表論
税務諸表論は計算になるべく多くの時間を掛けて高得点を取る必要があります。理論の記述の量と難易度で時間配分が変わってきます。昨年の理論問題は選択式の問題が多く難易度も高かったので30分ぐらいで切り上げて計算に90分ぐらい掛けることも可能でした。一方、今年の理論は昨年に比べれば記述が多い問題でした。今年の理論の問題であれば理論もある程度得点を取らなければならず、40-50分は理論に時間が掛かり、計算は70~80分といったところでしょうか。
解答用紙に受験番号を書く段階で回答欄から理論に時間が掛かることを想定し、理論にどのくらい時間を掛けるか見極める必要がありました。
(3) 法人税
法人税は理論も重要でかつ時間もかかるので、理論と計算60分ずつを目途にしている受験生が多いと思います。今年の理論は分量が多く規定を全て書いていたら計算の時間が足りなくなります。素読みの段階で理論全体の分量を把握し、個々の問題での多少の失点は覚悟して、思い切って解答を省略するという判断を早い段階でする必要があました。理論が書ける受験生ほど理論を書きすぎて計算の時間が足りなくなった可能性があります。
計算は2題形式となっており、必ず2題とも解答する必要があります。小問がある場合、小問が手付かずで残るリスクを回避するため、私は小問から解いた方がいいと思います。
今年の法人税の問題では理論に時間を掛けすぎない、計算は小問から解くという判断を早い段階でする必要がありました。時間配分の点ではかなり難しい問題だったと思います。
(4) 消費税
今年の消費税の理論の分量は例年程度と思いますが、計算が原則課税の総合問題2題と分量が多めでした。計算が2題形式の場合、問題の読み取りや頭を切り替えるのに時間が掛かります。解答用紙を見た段階で計算に時間が掛かることを想定して時間配分を決める必要がありました。また、計算は問1が調剤薬局でなじみがなく、問2が不動産業で見慣れた業種でした。計算は見慣れた問2から解き始めるべきでした。実際の難易度は解いてからしか分かりませんが、見慣れた業種であれば他の受験生ができる問題かできない問題か取捨選択は比較的容易と思います。
今年の消費税の問題では計算に時間が掛かる、計算は問2から解くという判断を早い素読みの段階でする必要がありました。
2. 時間配分のスキル向上策
時間配分のスキルの向上は容易ではなく、本番の試験形式での演習で行うしかありません。しかも、素読みや時間配分の訓練になるのは「初見の問題」かつ「難易度の高い問題」に限られます。2度目以降の問題ではある程度時間が空いていても訓練になりませんし、時間内に解ききれるような易しい問題でも訓練になりません。4月以降の直前期の演習で時間配分のスキルを磨くしかないと思います。直前期の演習は本番を想定して、一度はきっちり2時間で区切ってテストを受け、その後、全ての問題を解きましょう。仕上げに公開模試を予備校の校舎で良いので会場受験して時間配分のスキルがどの程度か確認しましょう。公開模試は自宅受験だと色々と甘くなるので絶対に会場受験をした方がいいです。
時間配分は難しいですがこれを乗り越えないと合格はないので頑張りましょう。
今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。