T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

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第74回税理士試験出題のポイント発表

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

第74回税理士試験の試験問題と出題のポイントが発表されました。 

令和6年度(第74回)税理士試験試験問題、答案用紙及び正誤表|国税庁

令和6年度(第74回)税理士試験出題のポイント|国税庁

 

昨年(2023年)は、試験問題は試験後すぐに発表されていましたが、今年は昨年より10日ほど遅れて出題のポイントと同時の公表となりました。

出題のポイントは一昨年(2022年)までは10月初旬に発表、昨年(2023年)は9月1日、今年は8月22日なので10日早くなりました。税理士試験はここ数年で色々と改善されてきています。試験問題と出題のポイントの同時発表も色々と改善に向けた取り組みの一つではないかと思います。

こちらの記事でも書きましたが、「出題のポイント」は出題者からのメッセージですので良く読んで今後の学習に役立てることをお勧めします。特に、2年目以降の科目は「出題のポイント」と実際の本番での解答を照らし合わせて何が足りなかった、解答がずれていなかったかを確認し、これらを意識して再度学習するのが合格への近道と思います。

試験問題と出題のポイントが試験後すぐ(翌週の月曜日など)に公表されれば、予備校の解答速報やボーダーの推定の精度が向上しそうです。

 

1. 試験問題

今年の試験問題については、こちらこちらの記事でも書いています。今回の試験では大きな出題の不備はなかったようです。

(1) 財務諸表論

今年の問題で一番大きなトラップは、財務諸表論第二問問1の社債発行日がX1期4月1日、X3期3月31日償還で、発行から償還まで2年ではなく3年という点でしょう。本番の試験では2年とした受験生が多そうです。計算に影響する箇所だったので間違えた受験生はショックだったでしょう。昨年の財務諸表論第二問問1でもX1期X月X日という記載となっているので、引っ掛け問題を作ったというより問題作成者の癖なのでしょう。

 

(2) 相続税

今回気が付いたのですが、相続税の題二問の計算問題の親族関係図に第70回(令和2年、2020年)から西暦が併記されています。役所が公表する文書では和暦の使用が義務付けられているはずです。さすがに昭和、平成、令和と3つにまたがると年数を数えるのが厳しいので西暦を併記したのだと思います。私は相続税を学習していたとき、ずっと西暦で問題を作って欲しいと思っていました。せめて、和暦と西暦の換算表は欲しいと思っていました。和暦と西暦の換算の間違えで試験に落ちたら洒落になりません。地味ですがこれも改善と思います。

 

2. 出題のポイント

今年の出題のポイントの記載はどの科目も充実しています

(1) 簿記論

簿記論の題二問の出題のポイントでは、簿記と法人税との関連に言及している点が特徴的でした。法人税に関わる問題が出題されているわけではないので、法人税に言及しなくても出題のポイントの記載として十分だったと思います。法人税が適切な会計処理を前提としており、会計・簿記の理解が税理士に必要であるとの試験委員からの強いメッセージだと感じました。

 

(2) 所得税

所得税の出題のポイントでは、最後に「所得税法の学習のポイント」が記載されています。私の知る限り国税庁から「学習のポイント」が示されたのは初めてです。他の科目でも参考になると思います。特に、一番最後に書かれている、「毎年年末に公表される税制改正大綱の冒頭に示される。この「基本的な考え方」のうち、受験税目に関係する部分だけでも目を通しておくことにより、今税制において何が課題となっているかを知ることも有益と考える。」とのメッセージは重要と思います。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

法人税か所得税か

こんにちは、T-アレックスです。

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科目選択については以前にこちらの記事で書いています。また、1つ目の税法選択についてはこちらの記事で、ミニ税法の選択についてはこちらの記事で書いています。

 

今回は、選択必修科目である法人税所得税について、受験戦略の観点で私の考えを書きたいと思います。私は法人税には合格済みですが所得税は受験していません。所得税についてはネットで色々調べた情報を元に記事を書いています。

 

1. 受験者数

法人税の受験者数は2019年(R1)以前は4,000人を超えていましたが、2020年(R2)以降は3,500人前後となっています。所得税は、2019年(R1)以前は1,500人を超えていましたが、2020年(R2)以降は1,200~1,500人となっています。法人税の受験者数は所得税の受験者数の概ね3倍となっています。

法人税は消費税とともに実務に直結する科目であるため、多くの受験生が1科目目または2科目目の税法科目として選択しています。

 

2. 合格率

合格率は法人税所得税ともに平均13%と差がありません。2020年(R2)の法人税の合格率は16.1%とやや高めでしたが、それ以外はどちらの科目も11-14%程度と合格率のばらつきは小さいです。合格率の面からはどちらの科目でも有利・不利はないようです。

 

3. ボリューム

予備校が公表している法人税所得税の学習時間の目安(理論暗記を除く)とTの理論マスターの理論の題数(2024年版)は以下の通りです。

標準的な必要学習時間は概ね同程度ですが、法人税の方が理論の題数が多いです。実際には本試験に100題以上の理論を精度高く暗記して臨む受験生は少なく、理論を絞ることになるので実質的な理論題数は同程度だと思います。

科目

学習時間

理論題数

法人税

600

117

所得税

600

99

 

4. 学習の難易度

学習自体の難易度は、法人税では組織再編やグループ税制など終盤の論点が難しいと言われています。所得税は、所得税法の条文は多く、広く浅く学習すると言われています。

ネット上での法人税所得税の両方の受験経験者の意見では、所得税の方が若干易しかったとの意見が見られます。ただし、両方受験した人のほとんどが法人税->所得税の順で学習していたという点には注意が必要です。法人税の学習経験があったため、所得税の学習が易しく感じたと可能性があります。

 

5. 受験生のレベル

法人税所得税ともに簿財合格者がほとんどだと思います。両科目とも税法初学者は多いでしょうし、他の科目に合格済みの受験生もいることでしょう。大きな違いは、法人税->所得税の順に受験する人は相応にいますが、所得税->法人税の順で受験する人はほとんどいないのではないかという点です。所得税受験者の中に法人税合格者がいるので、所得税の方が受験生の少しレベルは高いと思います。

 

6. 合格可能性

受験者数の多さと受験生のレベルを考えると、法人税の方が所得税より少し合格可能性が高いのではないかと思います

 

7. 他の科目との関連

(1) 法人税と会計科目

法人税は、確定した決算をもとに法人税額を計算していきます。税務上の仕訳も問われ簿記・財務諸表論との関連が強いです。簿記・財務諸表論の知識が薄まらないうちに法人税を学習した方が良さそうです。

 

(2) 法人税と事業税

予備校等の科目紹介では、事業税法人税の知識が必要であるとか、同時学習が有効であるなどと書いてあるものもあります。私が事業税を学習した経験では、法人税と事業税では全く相乗効果はありません。

 

(3) 法人税所得税

法人税所得税は考え方が似ているところがあり、連続して学習すると効果が高いと言われています。特に、ボリュームの多い事業所得と不動産所得は法人税学習済みであると有利と言われています。

 

(4) 所得税と住民税

所得税と住民税は非常に関連が強いと言われています。ネット上での所得税と住民税の両方の合格者の意見でも、両科目の相性は非常に良いとの意見が見られます。ただし、そもそも住民税の受験者は少ないのでサンプル数も少ないです。

 

8. 科目選択戦略

法人税所得税は1科目だけであれば法人税の方が合格しやすいのではないかと思います。一方、所得税には、所得税と住民税の相性の良さを考えると、所得税の学習+αで住民税と2科目の合格が狙えるというメリットもあり、官報合格までのトータルを考えると所得税の選択もありだと思います。所得税を含める場合の税法科目の選択は色々なパターンが考えられると思います。①ボリューム的に法人税所得税の2科目同時学習は難しい、②住民税との同時学習を考えると所得税は税法1科目目か2科目目となるとの前提で選択肢を考えてみたいと思います。本番の試験の出来によって色々なパターンが考えられ、なかなか面白いです。

 

1-1 法人税所得税-住民税

最初は法人税所得税を両方選択するケースです。法人税は会計科目の次に学習した方が良く、また所得税法人税の後に学習した方がいいでしょう。そうすると、税法の1科目目を法人税とし、本番の試験で法人税がボーダーを超えていた場合は、2科目目が所得税となります。無事法人税が合格していれば、そのまま所得税の学習を継続します。所得税が1年で合格できなかった場合には、所得税の2年目に住民税を選択し遅れを挽回することも可能です。

 

1-2 法人税-住民税-所得税

上記1-1のケースで、法人税が予想に反して不合格であった場合、年内でいったん所得税の学習を中断し、年明けから法人税の学習を再開したうえで、余裕があれば法人税と同時に住民税を学習することも選択肢として考えられます。所得税の学習が一定程度済んでいるので、住民税の学習に有利でしょう。法人税が高いレベルを維持できているであれば、住民税を追加して2科目の合格を狙うことも可能と思います。所得税の学習を再開するときには多少の貯金があるはずです。

 

1-3 法人税所得税-消費税

1-1または1-2のケースで住民税合格の前に所得税に合格した場合には、住民税を継続するか他の科目に切り替えるかの選択となります。住民税は所得税と相性が良いと言っても受験者のレベルは高く高得点勝負なので、最後の1科目は消費税に切り替えるのが良いと思います。

 

2-1 所得税-消費税-住民税 

税法1科目目に所得税を選択し、本番の試験で所得税がボーダーを超えていた場合は、2科目目は消費税を9月から学習するのが良いでしょう。所得税に合格していた場合、合格確率を高めるため消費税1科目に集中するのが基本的な戦略とは思いますが、1月以降に余裕があれば住民税を追加して消費税と住民税の同時合格を狙うこともできます。

 

2-2 所得税-住民税-消費税

1科目目に所得税を選択したケースで、本番の試験で所得税がボーダーを超えていていなかった場合には、所得税の学習を継続し、余裕があれば年明けから住民税を追加で選択して遅れを挽回することも可能です。最後の税法科目は消費税が良いでしょう。

 

2-3 所得税-消費税-相続税または国税徴収法

2-1または2-2のケースで、先に所得税と消費税に合格し最後1科目となった場合には、住民税を継続するか他の科目に切り替えるかの選択となります。私は、運の要素が強い住民税よりも、学習が大変であっても実力通りの結果となりやすい相続税国税徴収法に切り替えるのをお勧めします。

 

3-1 消費税-所得税-住民税

税法1科目目に消費税を選択した場合には、法人税の1-1と同様の科目選択パターンになります。消費税がボーダーを超えている場合に、所得税に進みます。所得税が2年間に突入する場合には住民税を選択し同時合格を狙います。

 

3-2 消費税-住民税-所得税

こちらも法人税の1-2と同様の科目選択パターンとなります。3-2のケースで、消費税が予想に反して不合格であった場合、年内でいったん所得税の学習を中断し、年明けから消費税の学習を再開したうえで、余裕があれば住民税を学習することも選択肢として考えられます。所得税の学習が一定程度済んでいるので、住民税の学習に有利でしょう。消費税が高いレベルを維持できているであれば、住民税を追加して2科目の合格を狙うことも可能と思います。所得税の学習を再開するときには多少の貯金があるはずです。

 

3-2 消費税-所得税法人税相続税または国税徴収法

法人税の1-1または1-2と同様のケースで住民税合格の前に所得税に合格した場合には、住民税を継続するか他の科目に切り替えるかの選択となります。住民税は所得税と相性が良いと言っても受験者のレベルは高く高得点勝負なので、最後の1科目は他の科目に切り替えることをお勧めします。法人税相続税国税徴収法の3科目が候補となります。最後の科目になればノウハウは十分にありっますので、こればかりは適性と好みによります。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

税法1つ目の選択

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

2024年の税理士試験が8/6~8に実施されました。受験された皆様お疲れ様でした。自己採点も終わり、次の科目の選択に頭を悩ませている受験生が多いと思います。今回は、税法1つ目について私の考えを書きたいと思います。

 

科目選択については以前にもこちらの記事で書いています。こちらの記事で税理士試験は最初の2年が重要ということを書きました。1年目は簿財を受験することを前提とし、今がまさに2年目に向け1つ目の税法を選択するときです。官報合格までの長期計画見据えた科目選択が必要となります。

 

1. 1つ目の税法選択に考慮すべき要素

1つ目の税法選択に考慮すべき要素はいくつかあります。

 

(1) 2年目・3年目の目標

税理士試験は最初の2年が重要という記事でも書いた通り、2年もしくは3年で簿財+税法1科目というのが目標となります。

 

(2) ミニ税法は避ける

私は、ミニ税法はいくつか特殊なケースを除いて選択すべきではないと思います。特に必要な学習時間が少ないからといって1科目目からミニ税法を選択するのは避けるべきです。ミニ税法は税法合格経験者が多く受験生のレベルが高いです。本番の試験でも得点のばらつきが少ないなかで高得点勝負となりやすく、運の占める割合が多くなります。自分の相対的な位置も分かりづらいです。1科目目では相対的な位置関係が分かりやすく、実力と試験結果が比例しやすい科目を選択すべきです。官報合格者のYoutubeやブログなどを見ても、法人税所得税は1-2年で合格している人でも、ミニ税法には合格まで3年以上かかっているケースも散見されます。(ミニ税法についてはまた別の機会に記事を書きたいと思います。なお、Tの資料でもOの資料でも消費税はミニ税法に含まれないようです。)

 

(3) 学習時間の確保と簿財の出来

税法は科目によって必要な学習時間は異なります。

1年目の簿財の出来によって考え方が異なります。簿財が両方とも厳しめの自己採点でボーダーを超えていて、学習時間が取れそうであれば法人税または所得税を選択するのが良いと思います。相続税は、法人税または所得税の合格者が多数受験するレベルの高い科目なので1科目目は避けた方がいいでしょう。法人税/所得税という必修科目を含めて、2年で3科目合格というベストの結果を目指しましょう。

消費税に全力を投入して1年で何としても合格するというのも良い戦略です。そうすると法人税所得税という必修科目は残るものの、2年で3科目合格という結果は非常に順調です。

簿財のどちらかが残る場合には、消費税を選択するのが無難です。消費税であれば、簿財のどちらかと消費税で、2年で3科目合格の可能性も残ります。

そもそも働きながら1年で法人税または所得税に合格するのが難しいことを考えると、2年での合格も考えて(※)法人税または所得税を選択し、最難関科目に早めに挑戦するのも悪くないです。社会人が複数科目を学習するのは難しいですが、例え2年目では法人税/所得税の合格はできていなくても、3年目で合格できれば3年で簿財+法人税または所得税となり5年での官報合格が見えてきます。

(※)1年で合格するために全力で学習したものの、結果的に1年目では合格できずに2年目での合格となるもので、最初から1年目は諦めて2年目での合格を目指すものではないです。

 

(4) 適性・必要な学習時間は事前には分からない

税法の計算は、簿財で計算は経験済みなので質も量も想像外ということはないと思います。理論は、財務諸表論の理論とはレベルが異なります。税法は初学となるので、事前には理論暗記がいかに大変か、理論にどの程度適性があるのかは分かりません。理論と計算の配分も手探りとなります。

 

(5) 推奨科目

以上をまとめると、1つ目の税法は、法人税所得税または消費税のいずれかを選択するのが良いと思います。法人税または所得税を1つ目にすべきか、消費税にすべきか、どちらを先にするかは一長一短あって結果論でしか分かりません。予備校の学習時間の目安や理論の暗記題数を見ても、消費税の分量は法人税/所得税の半分といったところでしょう。税法初学ということでまずは標準的な分量・内容で受験者・初学者がに多く、比較的合格しやすい消費税を選択するもの良いと思います。また、いずれ選択する必要がある法人税または所得税をモチベーションが高いうちに学習するのも良いと思います。消費税を1年、法人税所得税を2年以内に合格できれば成功と言えると思いますが、こればかりは結果からしか分かりません。

 

(6) 私の1つ目の税法選択

私はこちらでも記載した通り、1年目は簿記論がボーダー以下、財務諸表論が確実以上という自己採点で、1つ目の税法に法人税を選択しました。1年目は自己採点どおり簿記論不合格で財務諸表論には合格しました。2年目は簿記論にそれなりに時間を割く必要があり、法人税はA(50-59点)で不合格でした。3年目は法人税と消費税を学習しました。法人税の学習に時間をとられ消費税はあまり精度が高まりませんでした。結果、法人税は合格したものの消費税は不合格でした。

今になって振り返ると、1つ目の税法は消費税であったら2年目に消費税合格、3年目に法人税が1年で合格していたかもしれません。一方で、消費税は法人税の後に学習したので特に学習が楽に感じた面もあり、消費税が法人税より分量が少ないからといって、税法1科目で1年で合格できたかどうかは分かりません。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです

ミニ税法の選択はありか?

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今回は、ミニ税法について私の考えを書きたいと思います。

 

科目選択については以前にこちらの記事で書いています。また、1つ目の税法選択についてはこちらの記事で書いています。税理士試験において、ミニ税法を選択すべきかどうか私の考えを書きたいと思います。

私のブログでのミニ税法は酒税法国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税をいい、消費税は含みません。TやOのミニ税法の資料でも消費税は含まれていません。消費税は年々ボリュームが増えており、法人・所得・相続の半分ぐらいの量とはいえもはやミニ税法とは言えないものとなっています。

 

1. 受験者

受験者受験者数は、理論のみの国税徴収法は1,500~1,700人と簿記論、財務諸表論、消費税、法人税相続税に次ぐ人数となっており、所得税より多いです。その他のミニ税法の受験者数は固定資産税が800-900人と若干多いものの、他の科目は500人以下と少ないです。

 

2. 合格率

合格率の平均は12-15%となっています。年によってばらつきはありますが、税三法及び消費税との違いはありません。

 

3. ミニ税法に共通する特徴

(1) ボリュームが少ない

ミニ税法はボリュームが少なく短時間で全ての学習範囲を学習し終えることができます。予備校の発表する標準学習時間(理論暗記を除く)は150-250時間で、法人税所得税の概ね1/3程度となっています。理論暗記の題数も少ないです。

 

(2) 計算は満点勝負

計算は論点が少なく平易な問題が出題される傾向があり、満点勝負となることが多々あります。1つのミスが合否を分けそうです。

 

(3) 理論は速記

理論は暗記すべき理論の題数が少なく、事例問題も実質的にはべた書きとほぼ変わらないため、解答スピードが重要となる速記試験となることが多々あります。

 

(4) 受験生のレベルが高い

国税徴収法は理論のみということもあり、院免を狙う受験生を中心に税法初学者も多いうですが、一般的には他の税法、特に法人税所得税の合格者も多く験生のレベルは高いです。

 

4. 科目ごとの特徴

科目ごとの特徴としては、国税徴収法が配当問題という計算に近い問題はあるものの実質的に理論のみ、酒税法が理論30点、計算70点の配点と計算の割合が多くなっています、その他の事業税、住民税、固定資産税は理論50点、計算50点の配点となっています。

酒税法は消費税との重複不可、事業税と住民税も重複不可でどちらか一方のみとなっています。

 

(1) 国税徴収法

国税徴収法についてはこちらの記事で詳しく書いています。他のミニ税法との違いとしては、理論のみの科目であること以外にも、事例問題や横断的な問題が多くべた書きのみでは対応できない、他の税法では実際に出題される理論の範囲は少ないが国税徴収法は幅広い範囲が出題されるためヤマが張りにくいこと、試験問題の分量は適切で2時間以内に解答し終わることが多いのが特徴です。

 

(2) 住民税

所得税の知識が必要で、所得税の合格者または同時学習者にとっては学習が容易です。実際に所得税の合格者または同時学習者が多いため受験者のレベルは高く、合格には高い点数が必要となっています。

 

5. ミニ税法を選択すべきか

私は基本的にはミニ税法は選択すべきではないと考えます。その理由としては、学習範囲が狭すぎて試験範囲の学習は終わるものの、受験生のレベルが高いため、成績のばらつきが小さいく高得点勝負となります。こうなると、合格に運の要素が大きくなります。1,2年不合格となると学習することもなくなり、ただ現状を維持するための学習のみを継続し、運良く合格することを待つのみとなります。それよりも学習範囲が広くて学習に時間が掛かるとしても、学習の成果が結果にそのまま合否に繋がりやすい他の税法を受験すべきと思います。

 

6. ミニ税法を選択して良い場合

ミニ税法を選択しても良い場合はいくつかあると思います。

(1) 予想外の合格があった場合

自己採点では不合格を覚悟していたものの合格していた科目がある場合には、不合格科目を再度学習しようとしていた分の時間的余力が出ます。余力があるのであれば、運の要素が高くても半年あれば合格レベルに持っていくことができるミニ税法を受験して良いと思います。何も受験しなければ合格科目は増えませんので何もしないより良いです。

 

(2) 所得税の2年目以降と住民税の同時学習

所得税はボリュームの多い科目なので所得税1年目に住民税を同時学習するのは無謀だろうと思います。一方で、2年目以降で余裕があれば、住民税と同時学習で2科目同時合格を狙うのは良い作戦だと思います。1年目の不合格を2年目に2科目合格することで取り戻せるかもしれません。所得税合格、住民税不合格となった場合に、翌年以降住民税を継続するかどうかは難しい判断と思います。所得税に合格しているので住民税に合格する実力は十分ですが、最終的な合格にはやはり運の要素が絡むので、住民税の継続が短期合格のためにベストな選択かは不透明と思います。

 

(3) 税法3科目目の国税徴収法

国税徴収法については、税法3科目目であれば実力通りの結果となりやすい国税徴収法はお勧めです。理論学習のノウハウも十分となっていることでしょう。

しかしながら、院免狙いを含む税法1科目目や2科目目では国税徴収法を選択すべきではないと考えます。国税徴収法は理論100%の科目なので理論への適性が重要となります。理論暗記の題数、応用理論・横断的理論の問題も多く税法初学者にとっては易しい科目ではないです。理論は計算がある科目の方が計算と関連付けて覚えられるので暗記しやすいと思います。他の税法の合格者と戦うのは厳しいでしょう。

税法2科目目でもお勧めしません。他の税法では理論と計算のバランスが重要です。税法2科目目で理論のみの学習をしてしまうと、3科目目で理論と計算の両方の学習に戻るのは大変だと思います。学習のリズムを崩さぬよう税法2科目目では理論と計算が両方ある科目を選択すべきと思います。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

2024年74回税理士試験の感想(税法編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

2024年の税理士試験が8/6~8に実施されました。受験された皆様お疲れ様でした。試験の感想を23年はこちらこちらの記事、22年はこちらの記事を書いています。簿記論と財務諸表論の試験問題の感想はこちらの記事で書きました。今回は税法科目の試験問題の感想を書きます。

理論と計算は問題の質(「良」、「妥当」、「悪」)と量(多すぎ、妥当、少なすぎ)、全体の資格試験としての適切性の感想を★~★★★(「不適」、「いまいち」、「適切」)の3段階で書きます。(修正ボーダー更新 2024年8月31日)

 

1. 消費税

理論が事例問題と正誤事例問題で大問2題、計算はいずれも原則課税の総合問題2題という形式でした。理論は例年通りです。計算は2割特例の判定を含めた法人の原則課税と個人事業者の原則課税の2題という形式でした。

予備校

ボーダー

確実

T

65

77

O

69⇒67

82⇒72

 

(1) 難易度

理論の問1は消費税の試験で良く出てくるタイプの事例問題で難易度は「やや易~標準」といった感じでしょうか。インボイス制度開始後初めての試験で、インボイス制度に関するに問題が出題されました。インボイス制度に関する過去問は存在しないのですが、改正初年度なので十分な対策をしていた受験生が多いと思います。

問2は計算で良く出てくる論点に関する事例正誤問題で難易度は「易」だと思います。

昨年の理論と同様に、理論の暗記に基づく事例への当てはめが問われており、高い精度が求められます。べた書きでない標準的な事例問題は実力差が出やすく差がつきやすい問題と思います。しっかりと学習した受験生は高得点が取れる一方、暗記があいまいであったり、事例への当てはめの訓練が不十分であったりすると思ったより点数が伸びません。

税理士試験の事例問題は消費税に限らず一般的に良問が多いと思います。

計算は、問1が2割特例の判定を含む法人の原則課税、問2が2割特例の判定を含む個人事業者の原則課税の問題でした。問1の特定新設法人の2割特例の判定は難しかったようですが、問2では原則課税が全額控除方式になっており、難易度の調整がされているようでした。計算の難易度は「標準」だったようです。

全体を通した難易度は「標準」でしょう。

 

(2) 分量

理論単体で見れば理論の分量は適切だと思います。計算の分量はやや多いのではないかと思います。計算が2問構成の場合、問題の前提を読んで理解するのに時間を取られます。個々の処理はそれほど難しくなかったとしても、思ったより時間がかかります。昨年に比べれば計算の分量の調整はされているように見えます。消費税は制度が複雑化しており、色々な計算問題の組み合わせが出題されるようになっています。今後もこの傾向は変わらないと思われます。計算の分量が大きく減少することはなさそうです。

全体を通すと時間配分とスピードが重要で、理論も書きすぎると計算の時間がなくなり、計算も問1と問2をバランスよく解答することが求められています。

 

(3) 総合評価

【理論】

問題の質:良

問題の量:適切

【計算】

問題の質:良

問題の量:適切

【全体】★★★(適切)

 

試験問題の質は理論・計算ともに奇抜な問題や題意の読み取りが難しい問題もなく良かったのではないかと思います。実力通りの結果となりやすい試験問題だったと思います。計算の量がやや多いとの印象はありますが、問いたい論点が多くこれ以上分量を減らすのは難しいのかもしれません。試験時間が3時間あったら丁度良い試験問題になる気がします。

 

2. 法人税

理論が事例問題で3題、計算は総合問題1題という形式でした。

予備校

ボーダー

確実

T

60

75

O

66⇒64

80⇒76

 

(1) 難易度

理論は、問1「留保金課税」、問2「災害により所有資産が損傷等した 際の主な取扱い」、問3「仮装経理に基づく過大申告」でいずれも事例問題でした。問われ方自体は規定とその当てめで標準的でした。難易度は問1が「標準」、問2が「標準~やや難」、問3は理論を暗記していない受験生も多そうなので「やや難」といったところでしょうか。災害については各税法で頻出の論点となっています。問3は学習が後回しとなる論点ですが、理論全体としては奇抜な問題もなく良問といっていいと思います。問1と問2でしっかりと点数を確保し、問3は部分点を確保できたかどうかがポイントだったようです。

計算は、奇問はなかったようで難易度は「やや易~標準」だったようです。

 

(2) 分量

分量については、理論の分量が多いのではないかと思います。理論は答えが分かっていてもまともに書いていては時間が足りなくなります。いかに、減点覚悟で割り切って端折っていくかがカギとなっています。計算は例年ボリュームが多いのですが、理論と合わせるとより今年も例年通りの厳しさを感じます。理論ができる受験生が書きすぎて失敗する可能性がある試験問題と思います。

問題の取捨選択やいかに回答を端折るかが合格のカギを握るような問題は、私は良い試験問題とは思いません。全体のバランを考えて分量を調節してもらいたいです。

 

(3) 総合評価

【理論】

問題の質:良

問題の量:多すぎ

【計算】

問題の質:良

問題の量:妥当

【全体】★★(いまいち)

 

それぞれの問題を見ると今年の試験問題の質は良いように思えます。計算の分量は昨年より少なくなったものの、理論の量が多いため全体の分量が多すぎスピードと時間配分の勝負となっています。時間配分を間違えるとかなりの確率で不合格となるのではないでしょうか。とはいえ、理論の問題の質が昨年より良いため、今年の問題は実力通りに合格する可能性が高い試験問題と思います。それでもまだ、税理士となるために必要な知識や思考力を確認する前に、時間配分が重要となってしまっている点が残念です。

 

3. 相続税

理論が事例問題で2題、計算は総合問題1題という形式でした。

問1が「贈与税配偶者控除」、問2が「個人とみなされる者」でいずれも事例問題でした。問2の個人とみなされる者」については、第68回(平成30年、2018年)、第71回(令和3年、2021年)と昨年第73回(平成5年、2023年)にも出題されていいます。計算ではあまり出てこない論点でかつ、公益財団法人や持ち分の定めのない法人は一般にはなじみがないですが、相続税贈与税の観点では租税回避に用いられやすく重要な論点であるとのメッセージに思えます。

 

予備校

ボーダー

確実

T

70

84

O

71⇒68

81⇒78

 

(1) 難易度

理論はいずれも事例形式で、難易度は「標準」でしょうか。事例問題としての問われ方自体は標準的で良い問題だと思います。理論の暗記に基づく事例への当てはめが問われており、高い精度が求められます。べた書きでない標準的な事例問題は実力差が出やすく差がつきやすい問題と思います。しっかりと学習した受験生は高得点が取れる一方、暗記があいまいであったり、事例への当てはめの訓練が不十分であったりすると思ったより点数が伸びません。

計算は、最初に解答する相続人の判定に迷うところがあったようです。土地の評価に一部難しい問題があったものの、計算の難易度は「標準」だったようです。理論と計算を合わせた全体としての難易度は「標準」といえるでしょう。

 

(2) 分量

理論の分量はべた書きよりは事例問題の方が問題の読み取りに時間がかかるため同じ大問2題構成といっても分量が多めとなります。

計算は分量は抑えられており、納付税額まで計算することも可能でした。

理論で時間が掛かることを考慮すると全体の分量のバランスは良かったのではないかと思います。

 

(3) 総合評価

【理論】

問題の質:良

問題の量:妥当

【計算】

問題の質:良

問題の量:良

【全体】★★★(適切)

 

全体的な問題の質は良好で全体の分量のバランスがとれており良い試験問題だったと思います。理論も計算も奇問はなく差がつく問題だったと思います。実力通りの結果になるのではないかと思います。

 

4. 国税徴収法

第1問の問1(1)が趣旨、2)がべた書き、問2(1)がべた書き+相違点、(2)が事例に基づくべたがき、問3の(1)と(2)が配当問題、第2問が事例問題という構成でした。

 

予備校

ボーダー

確実

T

75

85

O

66⇒63

79⇒70

 

(1) 難易度

第1問は基本的な問題も多く難易度自体は「標準」だったと思います。分量は多かったので個々の問題は難しくなくても、精度の高い解答をするのは難しかったかもしれません。

第2問は第二次納税義務にかかる難解な論点が出題されており難易度は「難」でした。全体を通した難易度は「やや難~難」でしょう。

 

(2) 分量

一昨年(72回、2022年)の試験ではあまりにも分量が少なく、相対試験には不向きでした。昨年(73回、2023年)は適度な分量でした。今年は例年に比べてかなり分量が多いという印象です。国税徴収法としては珍しく2時間で解ききれない分量でした。

 

(3) 総合評価

【理論】

問題の質:妥当

問題の量:多すぎ

【全体】★★(いまいち)

 

満遍なく広い範囲からの出題であったと思います。事例問題、配当問題、趣旨を問う問題など問題のバランスもとれています。ただ、今年の試験問題は分量が多すぎると思います。このくらい分量が多くなると、解答をどう省略するかが合否のポイントとなってきます。法人税所得税相続税など解答ボリュームの多い税法科目の合格者の方が有利な試験だったと思います。一部の問題の解答を書きすぎて他の問題の解答時間が少なくなってしまった受験生もいたかもしれません。私は、速記試験となってしまう試験問題は資格試験として適していないと思います。

 

5. 事業税

事業税については細かく書きませんが、第1問の問1が「難」、問2が「標準」、第二問の計算は「標準」といったところでしょうか。第1問の問1(配点30点)で得点することは難しく、第一問の問2と第二問の計算は満点勝負となっています。学習範囲が狭く差がつきにくく相対試験に向かない科目なので、税理士試験から外すべきと思います。

 

予備校

ボーダー

確実

T

60

65

O

60⇒60

73⇒73

 

6. 住民税・固定資産税

住民税と固定資産税は、私は受験経験がありません。予備校の解答速報を見ると住民税の理論で一部難しい論点があることを除くと、理論・計算ともに平易で満点勝負と思います。どうしたら他の受験生との差をつけることが出来るか分かりません。何回か受験すればそのうち合格するのかもしれませんが、運頼みのような気もします。

 

住民税

予備校

ボーダー

確実

T

78

86

O

82⇒82

92⇒88

 

固定資産税

予備校

ボーダー

確実

T

85

92

O

82⇒82

88⇒88

 

7. 所得税

所得税は、私は受験経験がありません。表だけ載せておきます。

予備校

ボーダー

確実

T

52

70

O

59⇒59

72⇒72

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

2024年74回税理士試験の感想(簿記論・財務諸表論)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

2024年の税理士試験が8/6~8に実施されました。受験された皆様お疲れ様でした。これまでも、試験の感想を23年はこちらこちらの記事、22年はこちらの記事に書いています。今年の試験問題が資格試験として適切かという点について個人的な意見を書きたいと思います。理論と計算は問題の質(「良」、「妥当」、「悪」)と量(多すぎ、妥当、少なすぎ)、全体の資格試験としての適切性の感想を★~★★★(「不適」、「いまいち」、「適切」)の3段階で書きます。(修正ボーダー更新 2024年8月31日)

 

1. 簿記論

今年も個別論点の大問2題と総合問題1題という形式でした。第一問が退職給付会計とその他有価証券に関する連結決算、第二問が有形固定資産と新株予約権に分かれているので個別論点4題となっています。

 

予備校

ボーダー

確実

T

52

65

O

52⇒53

61⇒62

 

(1) 難易度

第一問の退職給付会計は給付算定式基準や期間定額基準といった見慣れない用語が出てきており初見では難しかったようです。難易度は「難」と思います。連結決算も見慣れない問題で、難易度は「難」だと思います。

第二問の有形固定資産は「やや易~標準」といった難易度で、個別問題の中では絶対に落とせない問題でした。新株予約権は自己新株予約権の処理を問う問題でした。見慣れない論点で難易度は「難」と思います。

第三問は例年通り決算整理型の総合問題で分量は多めだったものの難易度は「標準」と思います。

 

(2) 分量

全体的に第一問、第二問、第三問全て、資料の分量が多く、例年通り、時間内では解ききることができません。問題の取捨選択がカギとなっています。

 

(3) 総合評価

【計算】

問題の質:妥当

問題の量:多すぎ

【全体】★★(いまいち)

 

例年通り、問題の取捨選択をして素早く解答することが求められています。今年は問題によって解答の難易度が異なり、とりわけ素読みと時間配分が重要でした。第二問の有形固定資産から解き始めて確実に点数を確保するというのがベストでした。第一問から解き始めた場合には、難しい問題だと早々に見切りをつけて部分点狙い切り替え第一問にあまり時間を使わず、第二問、第三問に時間を使う必要がありました。

本番の試験で問題の取捨選択をするには、自分が分からない問題は他の人も分からないと自信をもって飛ばせるだけの実力が必要です。番形式の答練で問題の取捨選択をする能力を磨いておく必要があります。今回の試験問題が資格試験の問題として優れているどうかは別として、従来の試験の傾向に沿ったものなので実力通りの結果となるのではないかと思います。

問題自体の質については、問題間で難易度のばらつきが大きいと思いますが、標準的な問題も多く、全体的には「妥当」な範囲内と思います。

問題の量については、試験時間に対する問題量の多さは依然として問題だと思います。問題の取捨選択というテストのテクニックは税理士に必要な知識や能力とは無関係で、資格試験としての質は低いと思います。難しい問題に少しでも時間を使ったら不合格になるというのは納得感がありません。問題間の難易度と分量を調整して、2時間で解ききれる分量にすべきです。

全体的な試験問題の質は3段階(★★★「適切」、★★「いまいち」、★「不適」)で「いまいち」というのが個人的な評価です。第一問、第二問の難易度がもう少し調整されているか、または、分量がもう少し調整されていれば「適切」だったと思います。

 

2. 財務諸表論

予備校

ボーダー

確実

T

46

55

O

49⇒49

57⇒57

 

今年も理論2題と総合問題での計算1題という形式でした。理論は第一問が概念フレームワーク棚卸資産、第二問が社債とのれんに分かれており理論は4論点の出題がありました。

 

(1) 難易度

理論の第一問の問1は概念フレームワークの意思決定の有用性でした。概念フレームワークは近年頻出の論点です。用語と選択肢の問題は基本的であったものの、記述まで解答できた人は少ないのではないかと思います。難易度は用語と選択肢が「やや易~標準」、記述が「難」と思います。棚卸資産については、穴埋めなどは基本的な問題で「やや易~標準」、記述も標準的な論点で「標準」ではなでしょうか。

第二問の社債については、社債発行差金は2006の改正で繰延資産から債権額からの直接控除に変更になったはずです。(私の記憶が正しければ。)私が簿記の学習を始めたときはちょうどその改正があった時ですので、繰延資産と利息法との違いを私は記憶しています。改正から18年も経過しているので今の受験生が知らないのも無理はありません。難易度は「難」でしょう。あまりにも古い論点を出すのは適切ではないと思います。

第二問ののれんについては、負ののれんは解答しづらいところもありそうですが「標準」の難易度と思います。

第三問の計算は、難易度自体は「標準」だったと思います。だた、分量が例年よりかなり多かったようです。

 

(2) 分量

今年の試験は計算の分量が多かったのが特徴です。ネットでの書き込みを見ていると答練や公開模試の成績上位者でも100分掛けても解ききれなかったようです。また、理論も4題に分かれている上に、記述がそれなりにあり分量が多い印象です。全体として分量は多かったと思います。

 

(3) 総合評価

【理論】

問題の質:妥当

問題の量:多すぎ

【計算】

問題の質:妥当

問題の量:多すぎ

【全体】★★(いまいち)

 

今年の税務諸表論の試験問題は従来以上に理論と計算の時間配分がカギとなったのではないでしょうか。多くの受験生は、理論と計算のどちらを先に手を付けるかどうかはともかく、計算に80-90分程度配分するよう事前に戦略を立てていたと思います。理論から始めた受験生は、理論の分量も多くどの程度理論を捨てて計算の時間を確保するのかを判断するのは難しかったと思います。逆に、計算から始めた受験生は例年以上に計算に時間を費やして理論の時間が足りなくなったのではないかと思います。

私は簿記論でも書きましたが、問題の取捨選択や時間配分で合否が左右されるテストは資格試験として適していないと思います。

とはいえ、簿記論と同様に、来の試験の傾向に沿ったものなので実力通りの結果となるのではないかと思います。

 

税法の試験の感想は別途書きたいと思います。今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

カランメソッドStage10終了

こんにちは、T-アレックスです。

 

今回は英語学習の進捗についての記事になります。2023年7月末にカランメソッドの受講を開始しました。Stage2は8月末に完了Stage3は9月下旬に完了Stage4は10月末に完了Stage5は11月末に完了Stage6は1月末に完了Stage7は2月末に完了Stage8は4月初めに完了Stage9は5月末に完了しています。Stage10を完了したので記録を兼ねた記事を書きたいと思います。この記事にプロモーションは含まれていません。

 

1. 受講回数と時間

Stage10は81回で完了。その後Stage9-10の総復習(Full Book Revision)19回とGrammar Testが1.5回、合計101.5回(42時間18分)でした。受講期間は71日です。

2023年7月末にカランメソッドを開始したのでほぼ1年でStage10を完了しました。

Stage10は120ページあり、Stage9の124ページと同様に長く感じました。

基本的に平日は毎日1レッスン受講し、週末の土日は1日4レッスン受講しました。
QQEnglishの「よくある質問」にあるStage10完了までのレッスン数の目安は85回となっています。Stage10だけであれば目安よりは4回少ない回数で完了しました。レッスンの目安には総復習(Full Book Revision)が含まれていないと思います。総復習(Full Book Revision)含めると85回では終わらないです。

 

2. 受講スタイル

Stage2~9と特に受講スタイルは変えていません。単語のみ事前にテキストで確認しそれ以外の予習はしていません。New Wordはレッスンでの聞き取りに集中しています。復習は1レッスンあたり30分でレッスン前に行っています。1レッスンあたり復習とレッスンで1時間かけています。長い文章が増えていますが、しっかりと復習をして文章を覚えることで、Daily Revisionは10-12分で終わらすことができました。リーディングレッスンもリズも良くスピード感をもって読むことで、1レッスンで完了し次のレッスンに繰り越さないようにできました。Stage10は平均1レッスンで1.48ページ進みました。文章がさらに長くなってきたのでStage5、6の2.00ページ、Stage7の1.88ページ、Stage8の1.69ページ、Stage9の1.72より進度が遅くなりました。

 

3. カラン以外の英語学習

以前はELSA Speakでの発音練習を並行して行っていましたが、ELSA Speakはスコアが伸び悩んでいるのであまりやらずに、5月に期限切れとなりました。気が向いたので再開し時々使っています。相変わらずELSA Speakのスコアは77-78%に留まっており伸びません。単語は良いのですが文章になるとどうしても細かい発音が正確にできません。

Youtubeの英語学習動画を見てスクリプトに合わせたオーバーラッピングはやっています。語彙や表現の増加のための学習はしておらず、会社での会話やYoutubeの動画で使えそうな表現を真似することがある程度です。カランメソッドとは別に学習して語彙や表現の幅を広げる必要があると感じています。

 

4. 効果と感想

Stage5からは長い文章が増えており、New Workで先生の長い説明を聞いて覚えて、質問にフルセンテンスで解答するのは難しいです。Stage8からさらに長い文章が増えています。Stage10もStage8、9同様に長い文章も多いですが、Stage10でも復習をしっかりすればDaily Revisionではきちんと解答できます。難易度としては時々普段使わない単語が出てくることがありますが、Stage10でも文法も単語も特に分からないというものはありません。

Stage6完了の記事で書いた通り、Stage6を完了したあたりからかなり効果を感じています。会議で同僚の発言は前より聞き取れるようになり、自分の発言もある程度スムーズに言えようになってきました。スピード感も向上し言葉を上手く繋げて話せるようになってきました。

Stage10を完了し、リスニングの能力が向上し、口も大分回るようになってきた感覚はさらに増してきました。まだ言いたいことが言えずに言葉に詰まることもありますが、良くなってきたと思います。

日常会話で使用する基本的な表現であればStage4まで、日常会話でよく使う表現であればStage6までで十分で、Stage4やStage6までを繰り返しやった方が良いという意見もあります。私は、実際の友人との会話、ニュース、会議などでは長い文章を長時間聞く必要があるので、英語を聞き続けるスタミナと反応スピードを上げるために、文法の理解が出来ているという前提で、どんどん先のStageに進んで長い文章を聞いたり言ったりする方が良い思います。文章が長くなると大変ですが、負荷をかけただけの効果はあると思います。

 

Stage10を完了した流れでStage11に突入したので、そのままStage11、12と最後まで続けたいと思います。日本に一時帰国予定の12月中旬までにはStage12まで完了したいと思いますが、レッスンの目安はStage11、12ともに80回なのでちょっと厳しそうです。

Stage10が完了したので、一度レベルチェックを受けたいと思います。どんな結果になるでしょうか。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。