T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

税理士試験の理論学習法(事例問題編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

今回は税法の事例問題についてのお話です。

 

1. 事例問題の出題傾向

前に書きました趣旨を問う問題の記事の時と同様に、第69回(2019年)から第71回(2021年)の試験問題で事例問題を調べました調査の対象は税法9科目×3年分(69回から71回)の27科目です。

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私の受験経験も踏まえた科目ごとの所見は以下の通りです。

所得税3年連続事例問題が出題されています。

法人税事例問題が毎年出題されます。解答量は多いです。

相続税以前は個別理論が多く出題されていたとの印象がありますが、2年連続で事例問題が出題されています。事例問題のレベルは高く、解答量も多いと思います。

消費税:個別理論1題、事例問題1題が基本パターンのようです。事例問題は課税区分、仕入税額控除に関する問題が頻出で、小問形式の問題が多いようです。

酒税:事例問題はあまり出題されないようです。

国税徴収法[第二問]は配当計算となることもありますが、配当計算に法令の根拠の解答が要求されますので実質的には理論の事例問題です。

住民税:事例問題はあまり出題されないようです。

事業税:理論は1問が個別理論、1問が事例問題というのが基本パターンのようです。ただし、事例問題も実質的にべた書きです。

固定資産税:事例問題はあまり出題されないようです。

 

全体的なまとめとしては、国税三法(所得税法人税相続税)、消費税、国税徴収法の5科目では事例問題が頻出で重要度が高く、事例問題対策が必須で合否に直接影響すると思います。

その他の3科目(酒税、住民税、事業税、固定資産税)では事例問題対策の重要度低いと思います。

 

2. 事例問題の解答パターン

事例問題の解答パターンは、ロングバージョンショートバージョンの2つあると思います。

(1) ロングバージョン

ロングバージョンは大問1題全体が事例問題となっており、解答量も多い問題に対応する解答形式です。

①結論

②規定

③事例の規定へのあてはめ

④結論(繰り返し)

となります。

まず、結論を書きます。長い文章の場合には、先に①結論(答え)を書いて分かっていることを採点者にアピールします。社会人の方は報告書やプレゼン資料を作るときに、結論(概要やExecutive Summary)を最初に書くと思います。それと同じです。

次に②規定と③問題の事例の規定へのあてはめを記載し、最後にしたがって、XXXのように④結論を繰り返します。

これがロングバージョンの基本形となります。

法人税の大問の事例問題などはロングバージョンでの解答が必要となります。

どんな事例問題もロングバージョンで解答できるようにしましょう。

 

(2) ショートバージョン

ショートバージョンは設問が小問形式で、解答要求が数行程度となっている問題に対応する解答形式です。

ロングバージョンの②規定と③事例のあてはめをまとめて簡潔に記載し、④結論につなげます。分量が少ないので必ずしも最初に結論を書く必要はないと思います。

消費税で頻出の課税区分仕入れ税額控除に関する小問などは、ショートバージョンで解答することになります。

 

3. 事例問題の学習ステップ

事例問題の学習のステップは以下の通りと考えています。

(1) 理論暗記

事例問題の解答には、理論暗記ができておりべた書きができることが必須です。まずは、A、B理論の暗記が優先です。

 

(2) ロングバージョンの解答

次に、事例即してロングバージョンの解答を作成します。理論の暗記と理解ができていなければロングバージョンの解答を作成することができません。

 

(3) ショートバージョンへの短縮

ロングバージョンの解答が作れるようになったら、制限時間や解答欄に合わせてショートバージョンで解答できるようにします。答練、応用理論問題集、過去問の小問などで練習を繰り返します。

 

(4) ロングバージョンとショートバージョンの組み合わせ

設問・解答欄や時間配分に応じてロングバージョンとショートバージョンを組み合わせ、最適な解答ができるよう訓練しましょう。

 

(5) 事例問題からべた書きのアウトプット

答練等の事例問題の復習では、直接の解答だけでなく関連する理論のべた書き部分のアウトプットを同時に行うのが効率的です。理論暗記の確認になるだけでなく、事例を通じた方が理論の理解が深まり、理論暗記がより強固になります。理マスや理サブだけで理論を暗記するだけでは変化が乏しく暗記が進まない場合もあります。事例問題で変化をつけて脳を活性化させましょう。

 

(6) 計算問題からべた書きのアウトプット

計算に関連する理論については、計算問題に出てきた理論のアウトプットをするのもお勧めです。理論の理解につながったり、暗記に変化がついたりする点は(5)と同じです。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。