T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

税理士試験問題の不備

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

1. 試験問題の不備

9月2日に国税審議会から第72回(2022年)の固定資産税の試験問題に誤りがあったとの発表がありました。

原文はこちら

 

これまでも税理士試験では試験問題の不備はたびたびありましたが、国税審議会からこのような謝罪文が公表されるのは初めてではないでしょうか。

今回の固定資産税の問題の不備は解答速報の時点から各予備校で指摘されていました。資料からは計算問題の解答ができないので「想像」で解答せざるを得ないようでした。固定資産税は採点サービスが利用できなかったりもしたようです。

受験生は対応に非常に苦慮したことでしょう。固定資産税は例年、高得点の勝負なのでなかなか問題を捨てるのも難しかったでしょうし、資料を色々確認したり様々なやり方を試してみたりと時間がとられたのではないかと思います。

 

「本問の採点に当たっては、受験者の不利とならないように配慮します。」と書いています。問題の不備の箇所を没問にする以外には私は思いつきません。没問で試験の公平性が確保されるといえるかは疑問です。

 

税理士試験の問題点についてはこちらにいくつか記事を記載しています。問題の不備(資料の不足、誤り、あいまいな解答指示、解答欄の不足など)はこれまでに多々発生しているようですが、私自身では各試験問題を確認する時間もないので分析していません。

 

ここが変だよ税理士試験(試験全般編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

ここが変だよ税理士試験(計算問題編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

ここが変だよ税理士試験(理論問題編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

 

試験問題の不備で有名なのは第64回(2014年)-第66回(2016年)の法人税です。資料の不足、誤り、矛盾、あいまいな解答指示、解答欄の不足など)がてんこ盛りだったようです。この時は、64回から試験委員が変更となっています。前任の第61回(2011年)-63回(2013年)の試験問題が比較的良問だったこともあり、第64回(2014年)の受験生にはとても厳しかったと思います。

 

2. 再発防止

税理士試験は、試験委員は公表されますが問題の作成プロセスや採点方法はブラックボックスとなっています。出題のポイントは公表され、得点も通知されるようになりましたが、模範解答は公表されません。

噂では、試験委員が一人で問題を作成し作成者以外の人が問題を解いて確認するといったことはしていないようです。また、採点も試験委員が一人でやっており模範解答や採点基準も作成されていないようです。

 

公表文では「再発防止に努めてまいります。」と記載されています。

税理士試験は難関の国家資格の一つで合否に人生が掛かっているといっても過言ではありません。受験生が納得する透明性をもった再発防止策を講じてほしいものです。

 

3. 受験対策

 

受験対策については、試験問題の不備に対応する対策はないと思います。いくつかの記事でも記載していますが私は問題の取捨選択で合否が決まる試験は適切でないと思っています。そこにさらに試験のためだけに問題の不備があった場合の対策を練るのは、会計や税務の知識とは何の関係もなく無意味だと思います。

予備校の答練は試験問題を内部で十分に検討しており、基本的には資料の不備やあいまいな解答指示はありません。予備校が問題の不備を前提とした答練を準備するのもナンセンスです。受験生が独自に問題の不備への対策を行うも無理ですし意味もありません。

受験生は本番で不備のある問題が出ないことを祈りつつ、予備校のカリキュラムをこなすことが合格への近道と思います。

 

今回はこれまでとなります。