T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

第74回税理士試験出題のポイント発表

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

第74回税理士試験の試験問題と出題のポイントが発表されました。 

令和6年度(第74回)税理士試験試験問題、答案用紙及び正誤表|国税庁

令和6年度(第74回)税理士試験出題のポイント|国税庁

 

昨年(2023年)は、試験問題は試験後すぐに発表されていましたが、今年は昨年より10日ほど遅れて出題のポイントと同時の公表となりました。

出題のポイントは一昨年(2022年)までは10月初旬に発表、昨年(2023年)は9月1日、今年は8月22日なので10日早くなりました。税理士試験はここ数年で色々と改善されてきています。試験問題と出題のポイントの同時発表も色々と改善に向けた取り組みの一つではないかと思います。

こちらの記事でも書きましたが、「出題のポイント」は出題者からのメッセージですので良く読んで今後の学習に役立てることをお勧めします。特に、2年目以降の科目は「出題のポイント」と実際の本番での解答を照らし合わせて何が足りなかった、解答がずれていなかったかを確認し、これらを意識して再度学習するのが合格への近道と思います。

試験問題と出題のポイントが試験後すぐ(翌週の月曜日など)に公表されれば、予備校の解答速報やボーダーの推定の精度が向上しそうです。

 

1. 試験問題

今年の試験問題については、こちらこちらの記事でも書いています。今回の試験では大きな出題の不備はなかったようです。

(1) 財務諸表論

今年の問題で一番大きなトラップは、財務諸表論第二問問1の社債発行日がX1期4月1日、X3期3月31日償還で、発行から償還まで2年ではなく3年という点でしょう。本番の試験では2年とした受験生が多そうです。計算に影響する箇所だったので間違えた受験生はショックだったでしょう。昨年の財務諸表論第二問問1でもX1期X月X日という記載となっているので、引っ掛け問題を作ったというより問題作成者の癖なのでしょう。

 

(2) 相続税

今回気が付いたのですが、相続税の題二問の計算問題の親族関係図に第70回(令和2年、2020年)から西暦が併記されています。役所が公表する文書では和暦の使用が義務付けられているはずです。さすがに昭和、平成、令和と3つにまたがると年数を数えるのが厳しいので西暦を併記したのだと思います。私は相続税を学習していたとき、ずっと西暦で問題を作って欲しいと思っていました。せめて、和暦と西暦の換算表は欲しいと思っていました。和暦と西暦の換算の間違えで試験に落ちたら洒落になりません。地味ですがこれも改善と思います。

 

2. 出題のポイント

今年の出題のポイントの記載はどの科目も充実しています

(1) 簿記論

簿記論の題二問の出題のポイントでは、簿記と法人税との関連に言及している点が特徴的でした。法人税に関わる問題が出題されているわけではないので、法人税に言及しなくても出題のポイントの記載として十分だったと思います。法人税が適切な会計処理を前提としており、会計・簿記の理解が税理士に必要であるとの試験委員からの強いメッセージだと感じました。

 

(2) 所得税

所得税の出題のポイントでは、最後に「所得税法の学習のポイント」が記載されています。私の知る限り国税庁から「学習のポイント」が示されたのは初めてです。他の科目でも参考になると思います。特に、一番最後に書かれている、「毎年年末に公表される税制改正大綱の冒頭に示される。この「基本的な考え方」のうち、受験税目に関係する部分だけでも目を通しておくことにより、今税制において何が課題となっているかを知ることも有益と考える。」とのメッセージは重要と思います。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。