こんにちは、T-アレックスです。
このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。
2025年の税理士試験が8/5~7に実施されました。受験された皆様お疲れ様でした。試験の感想を24年はこちらとこちらの記事、23年はこちらとこちらの記事、22年はこちらの記事を書いています。簿記論と財務諸表論の試験問題の感想はこちらの記事で書きました。今回は税法科目の試験問題の感想を書きます。
理論と計算は問題の質(「良」、「妥当」、「悪」)と量(「多すぎ」、「妥当」、「少なすぎ」)、全体の資格試験としての適切性の感想を★~★★★(「不適」、「いまいち」、「適切」)の3段階で書きます。
1. 消費税
理論が事例問題で大問2題、計算はここ数年続いていた2題形式ではなく1題形式の出題でした。
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
70 |
78 |
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O |
74 |
82 |
(1) 難易度
理論の問1は外国法人(電気通信利用役務の提供及び納税義務)に関する事例問題で、規定の当てはめは難しいものではなく、改正論点でもあったので難易度は「易」と思います。問2は課税売上割合に準ずる割合でこちらも基礎的な論点で難易度は「易」と思います。
今年の理論も事例問題となっていますが、例年よりもべた書きが多く暗記の精度及び速記の勝負となったように見え、今年の理論の問題の質は良くないと感じます。
計算は、1題形式となっており、頭から解いていくもものでした。資料に読み取りにくいところもあり、計算の難易度は「やや難」だったようです。
全体を通した難易度は「標準」でしょう。
(2) 分量
今年の理論の分量はべた書き部分が「多すぎ」ではないかと思います。消費税の場合、理解や法律の適用力を試す良問を作ることができるはずですが、暗記や速記の試験になってしまうのはとても残念です。
計算の分量はやや多いのではないかと思います。1問形式なのでどちらの問題から始めるか悩まなくてすまない分、昨年などよりは大分ましだったと思います。
全体を通すと時間配分とスピードが重要で、理論も書きすぎると計算の時間がなくなます。
(3) 総合評価
【理論】
問題の質:悪
問題の量:(べた書き部分が)多すぎ
【計算】
問題の質:良
問題の量:適切
【全体】★★(いまいち)
今年の試験問題は理論問題の質が悪いと思います。難易度が易しくても良いのですが、暗記・速記の勝負となる問題は資格試験として適しているとは思えません。計算も分量がありますので、理論暗記が出来ていることは大前提として、何を理論で書かないかが合否を分けることになったかもしれません。暗記の精度と計算のスピードが問われるものの、問題自体は標準的な内容なので、実力どおりの結果となりやすい試験問題だったとは思います。
2. 法人税
理論が事例問題で4題、計算は総合問題1題という形式でした。
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
60 |
76 |
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O |
55 |
67 |
(1) 難易度
理論は、問1「収益計上の額」、問2(1)「グループ法人税制」、問2(2)「交際費」、問3「欠損金等」でいずれも事例問題でした。難易度は問1の変動対価は予備校の未学習論点のようなので収益計上のべた書きは書けたとしても結論の金額を正解することは難しく「難」、問2(1)が「標準~やや難」、問2(1)は交際費自体は頻出論点ですが対象が一般社団法人で結論を正解することは難しく「難」、問3は「標準」といったところでしょうか。各問題は全体としては奇抜な問題もなく良問といっていいと思います。問2(1)と問3の結論を合わせた上で、いかにべた書き部分で得点を上積みできたかどうかがポイントだったようです。未学習論点もあり、問題文の読み取りと考察の時間を考慮すると難しい問題だったようです。内容的にはかなり実力差がはっきりと出る試験問題だったと思います。
計算は、奇問はなかったようで難易度は「標準」だったようです。
(2) 分量
今年の理論は個々の問題の質は良いと思いますが、分量は理論が多いのではないかと思います。計算と合わせて2時間で解答するには、このボリュームの事例問題4題は多いと思います。理論は答えが分かっていてもまともに書いていては時間が足りなくなります。いかに、減点覚悟で割り切って端折っていくかがカギとなっています。
計算は例年どおりボリュームが多いものの、計算単体でみれば妥当な範囲内とも言えますが、理論と合わせると今年も例年通りの厳しさを感じます。
問題の取捨選択やいかに回答を端折るかが合格のカギを握るような問題は、私は良い試験問題とは思いません。全体のバランを考えて分量を調節してもらいたいです。
(3) 総合評価
【理論】
問題の質:良
問題の量:多すぎ
【計算】
問題の質:良
問題の量:妥当
【全体】★★(いまいち)
それぞれの問題を見ると今年の試験問題の質は良いように思えます。理論の量が多いため全体の分量が多すぎて、今年もスピードと時間配分の勝負となっています。時間配分を間違えるとかなりの確率で不合格となるのではないでしょうか。理論・計算ともに問題の質は良いため、実力通りに合格する可能性が高い試験問題と思います。それでもまだ、税理士となるために必要な知識や思考力を確認する前に、時間配分が重要となってしまっている点が残念です。
3. 相続税
理論が事例問題1題そのうち小問が4題、計算は総合問題が2題という形式でした。
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
57 |
70 |
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O |
63 |
73 |
(1) 難易度
理論は事例形式の1題でその中で小問4題に分かれていました。(1)未分割遺産と(2)その申告手続、(3)小規模宅地等、(4)配偶者居住権が消滅した場合となっており、(1)~(3)は平易で、(4)は解答が難しく、解答できる箇所とできない箇所がはっきり分かれる問題でした。難易度は「やや易」でしょうか。事例自体は計算で良く出題されるようなものであり、べた書きの要素が強い問題であったと思います。
計算は、問1は財産評価を中心とした総合問題で「標準」、問2が贈与関連の総合問題で、旧法の取扱いが問われる問題もあり「難」でしょう。
(2) 分量
理論の分量はべた書き寄りの事例問題で、「やや多い」といったところでしょうか。計算は2題形式であったこともあり分量は「多すぎ」という印象です。財産評価関連と贈与関連と受験生に問いたいことは理解しますが、2時間という試験時間を考えると計算の分量が多すぎです。
(3) 総合評価
【理論】
問題の質:妥当
問題の量:妥当
【計算】
問題の質:妥当
問題の量:多すぎ
【全体】★★(いまいち)
今年の試験問題は計算の量が多すぎというのが問題と思います。理論の(1)~(3)と計算の問1が出来た上で、理論の記述をどう端折るか、計算の問2でどの程度部分点を拾うかがカギとなっていそうです。取捨選択と速記勝負となる試験は資格試験としては適切でないと考えます。
4. 国税徴収法
第一問の問1(1)~(3)がべた書き、問2(1)がべた書き+趣旨、(2)が事例問題、第二問が事例問題いう構成でした。
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
80 |
90 |
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O |
65 |
81 |
(1) 難易度
第一問も第二問は基本的な問題が多く難易度自体は「やや易~標準」だったと思います。
(2) 分量
3年前(72回、2022年)の試験ではあまりにも分量が少なく、相対試験には不向きでした。一昨年(73回、2023年)は適度な分量でした。昨年(74回、2025年)は例年に比べてかなり分量が多かったです。今年は適度な分量で、十分に2時間で解ききれたと思います。
(3) 総合評価
【理論】
問題の質:良
問題の量:妥当
【全体】★★★(適切)
従来通り満遍なく広い範囲からの出題であったと思います。配当問題はありませんでしたが、事例問題、趣旨を問う問題など問題のバランスもとれています。今年の試験問題は分量も従来どおりに戻っていますし、実力通りの結果となる試験だったと思います。TとOと予想ボーダーが割れています。確かに比較的易しい問題だっと思いますが、国税徴収法は初学者が多いのでTほどボーダーは高くならないのではないでしょうか。
5. 事業税
事業税については細かく書きませんが、第一問の問1が「標準」、問2が「やや難」、第二問の計算は問1、問2ともに「やや易」といったところでしょうか。問題自体は難しくなさそうですが、分量が多く書ききれないという印象です。
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
68 |
72 |
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O |
71 |
87 |
6. 住民税・固定資産税
住民税と固定資産税は、私は受験経験がありません。計算は住民税・固定資産税ともに平易で満点勝負と思います。理論もかなりの高得点が必要で、どうしたら他の受験生との差をつけることが出来るか分かりません。何回か受験すればそのうち合格するのかもしれませんが、運頼みのような気もします。
住民税
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
80 |
86 |
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O |
79 |
89 |
固定資産税
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予備校 |
ボーダー |
確実 |
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T |
85 |
90 |
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O |
85 |
93 |
今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。