T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

ボーナスを株で貰った時の確定申告の思い出

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

確定申告の季節ですので、今回は税理士試験から離れて確定申告の思い出を書きたいと思います。

 

1. ボーナス支給の状況

かなり昔に働いていた会社で、ボーナスの一部を自社株(上場株)でもらったことがありました。

ボーナスを株でもらってもお金でもらっても所得に違いはないので申告する必要があります。普通であれば貰った株の金額を所得とすればいいのですが、ボーナスの確定する時期に株価が暴落してしまったので、いくらで申告するかが問題となりました。

 

例えば、ボーナス100,000円分を自社株で支給しようとしたとします。ボーナスを確定するときの支給基準日の株価が1,000円だとすると100株をボーナスとして従業員に支給することとなります。

上場企業の場合、インサイダー取引の観点で従業員が自社株を売買できる期間を制限していることが多いです。当時私の働いていたその会社では、従業員がA株の売買ができる期間は決算発表後の1週間程度となっていました。

タイムラインは、ボーナスの支給基準日(A)-決算発表日-売買可能日(B)で、AからBまでは2週間程度の期間があった記憶しています。当時のこの期間はマーケットが非常に混乱していて、AからBの間に会社の株価が暴落してしまいました。

会社としては10万円分のボーナスを自社株で支給したことになっていますが、売買可能期間になってから従業員がその株を市場で売却し実際に手にすることが可能な金額は3万円しかないというような状況でした。

 

2. ボーナス支給時の確定申告

この場合、従業員はいくらで確定申告をするべきでしょうか?

会社は、監査法人から従業員の所得税の申告に関する見解を取得して、従業員に通知しました。

会社からの通知では、①株で取得したボーナスについても給与や現金で受取ったボーナスと同様に確定申告が必要なことに加え、②申告すべき金額は、従業員が株を実際に得ることのできる金額は売買可能日(B)を基準としても問題ないのではないかとの監査法人の参考意見も添付されていました。監査法人は従業員の税務申告の代理人ではありませんが、専門家の意見として確定申告の手助けになるものでした。

 

私は、それほど立場が上ではなかったので株でもらったボーナスはそれほど多くありませんでしたが、会社の通知通り、売買可能日(B)を基準とし、監査法人の意見を参考資料として申告書に添付し確定申告及び所得税の納付をしました。

後で聞いたところでは、多くの同僚も同様の申告をしたようです。

申告してからかなり年数(5年超)が経っていますが、私にも同僚たちにも税務署から特に連絡はなかったので、この申告は問題視されなかったものと思います。

 

3. 売却時の確定申告

数年後に当該株式を売却しました。あまり大きな譲渡益は出なかったと記憶しています。その時も、所得税の申告と矛盾しないよう売買可能日(B)の株価を基準として譲渡益を計算し、自分で作成した明細を添付し確定申告及び所得税の納付をしました。支給基準日(A)の株価を基準とした場合、譲渡損となっていたかもしれません。こちらも、申告してからかなり年数(5年超)が経っていますが、税務署から特に連絡はありません。

 

4. 追徴課税

後日当時の同僚から聞いた話では、株でもらったボーナスについて確定申告をしなかった人がいたとのことです。税務署から税務調査が入り、立場が上で多くの株式をボーナスとして取得していた人は追徴税額が相当の金額になったらしいです。また、追徴課税の基準とされた株価は支給基準日(A)の株価とされたようです。株価はある程度回復していましたが、支給基準日(A)の株価にまでは戻っていませんでした。株を売却しても追徴税額に満たなかったかもしれません。

会社が支給基準日(A)の株価を基準としてボーナスを支給している以上、所得も支給基準日(A)の株価であるとの見解も合理性があるように思えます。

税務署の見解は分かりませんが、きちんと申告した人には売買可能日(B)の株価を基準とすることに一定の合理性があり、担税力(実際に税金を支払う原資があるかどうか)も考慮して許容したのではないかと私は思います。

 

結論としては、確定申告はちゃんとやりましょうということです。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。