T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済みです。

独学自体に価値はない

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

税理士試験の合格発表から1か月半が経過しました。合格体験記が色々な媒体で掲載されています。独学で合格したことをアピールしているものもあります。

独学といいながら予備校の資料通信を使っていたり、もっとひどいケースでは前年のテキストを使用て独学と称したり、Web通信を受講しているにもかかわらず独学と称していたりします。私も資料通信とWeb通信のみで5科目合格したので独学で官報合格したことにしてもいいのでしょうかね??

 

こちらの記事でも書いていますが私は、独学で合格したか予備校を活用して合格したかの違いには全く意味がないと思います。院免か官報合格かの違いも全く意味がないと思います。とにかく早く5科目を揃えることが重要です。大学院を使ってもいいと思います。社会人が5科目揃えるのはかなりハードルが高く、働きながら4-5年での短期合格は非常に価値があります。その後のキャリア展開に大きく左右します。一通りの学習範囲が終わればその科目の基礎的な知識が獲得できているので、長期間にわたって同じ科目の試験勉強をしても所詮テスト勉強に過ぎず、本質的な意味での会計・税務の知識や経験の上積みはありません。

 

税理士試験は5科目合格して初めて意味が出ます。科目合格の段階での合格体験記もあまり意味がないと思います。独学で2年かけて合格するのであれば、予備校を活用して1年で合格した方がいいです。こちらの記事でも書きましたが、私は4科目目までは順調に4年で合格しましたものの、その後転職などもあって5科目目の合格に時間がかかってしまいました。2年目の段階では私の学習方法は良かったと思っていました。こちらの記事簿記論財務諸表論の記事でも書いた通り、最終結果からすると簿記論も財務諸表論も9月から予備校の講義を受講し、1年で何としても2科目合格すべきでした。そうすれば、法人税と消費税も1年で合格し3年で4科目合格し、転職前に5科目合格することもできたかもしれません。1科目単位で最適化を図るのではなく、5科目トータルでどのような戦略で臨むべきか考える必要があります。

 

こちらの記事でも書きましたが、大手の予備校を使っても5科目で100万円程度です。年平均20-25万円です。受験勉強を始めると旅行、飲み会、趣味などに使う時間もお金も自然と減りますので社会人であれば払える金額ではないでしょうか。最もコストパフォーマンスが良いのは独学ではなく短期合格です。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

年末年始の過ごし方

こんにちは、T-アレックスです。

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今回は税理士受験生の年末年始の過ごし方について書きたいと思います。

 

こちらの記事でも書きましたが、税理士試験では9-12月が基礎期、1-4月が応用期、5-7月が直前期となります。年末年始は基礎を固めて応用期に入る準備を整える期間となります。

 

1. 1年目の科目

1年目の科目は12月までに試験範囲の基礎部分を一巡する必要があります。ボリュームが多い科目では予備校の講義が溜まっている場合があります。年末年始は講義が休みとなりますので追い付かなければなりません。基礎期の学習を応用期のカリキュラム開始後に持ち越したり、基礎期の未学習部分を放置したりしてはいけません。

 

(1) 計算

まずは、計算の基礎を固めておきます。応用期になると本試験レベルの問題となり質・量ともに上がります。応用期に入る前に計算パターンを確実にマスターしておく必要があります。

 

(2) 理論

理論は理解を重視し、ミニテストや答練で出題された基礎的な論点を一度は覚えてテスト形式でアウトプットしましょう。応用期、直前期と理論学習を繰り返して記憶を定着させてきますので忘れても構いません。一度は覚えることが後の理論の定着につながります。また、予備校の講義や答練で触れた部分以外はこの時期に気にする必要はありません。まずは、幹となる部分を理解し一度覚えることが重要です。繰り返しますが、この時期は忘れても構いません。

 

2. 2年目以降の科目

残念ながら再度学習する科目についてはこちらの記事でも書きましたが、まずは何が原因で不合格となったか具体的に分析する必要があります。59点で不合格となったとしても、「どこか1問ミスしなければ合格できた、次は合格できるはず」という甘い考えは捨てましょう。本試験から時間が経っているので力は落ちています。もう一度7か月かけて本試験レベルに達するよう学習をやり直す必要があります。次こそは絶対合格するという強い決意で臨みましょう。

再学習者のための予備校の応用期のカリキュラムを申し込むと学習範囲を総ざらいした準備教材が送られてくると思います。この準備教材を応用期の講義開始前までにやり、記憶を呼び起こしてください。1年目と同様まずは計算パターンの確認が重要と思います。理論は全体を眺める程度で応用期・直前期のカリキュラムに沿って覚えなおせばいいと思います。1年目に一度しっかりと暗記したのであれば、覚えなおすのはそれほど困難ではないと思います。

 

3. プライベートの過ごし方

年末年始は忘年会や新年会、帰省などのイベントがあります。基礎期の学習範囲が一巡しており応用期への準備が間に合うのであれば、各種イベントにある程度は参加してもいいと思います。年末年始が勉強以外のことに時間を割ける最後のチャンスです。1月以降は学習が本格化し、家族のイベントにしろ会社のイベントにしろ最低限のものにしか参加できません。1-7月の応用期・直前期の試験勉強に集中できるよう、プライベートな面でも十分な準備をしましょう。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。

独学はお勧めしない

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今回は税理士試験を独学で学習することについて書きたいと思います。

 

1. 独学の定義

私の独学の定義は予備校を一切利用せずに市販のテキスト・問題集のみ(TやOの市販の教材を含む)で学習することをいい、資料通信も受講しないことを言います。

 

2. 優先順位

働きながら税理士試験を合格するために何が最も重要でしょうか?私は4-5年で短期合格することが最も重要と考えています。とにかく一刻も早く税理士資格を取得できる条件を満たすことが大事ですし、こちらの記事で書いた通り合格までに年数がかかるとキャリアプランに影響します。

最も安く税理士試験に合格することを優先する人もいるかもしれません。そのような人は私とは優先順位が異なりますのでこの記事は参考になりません。

 

3. 費用

こちらの記事に書いた通り、各科目1年で順当に合格した場合の5科目合格までの最大の費用はTまたはOの講座を受講したときの約100万円です。大学受験などの場合予備校の講座や参考書・問題集にいくらでもお金をかける余地がありますが、税理士試験の場合、大手予備校の講座で必要十分なので1科目1年あたりの費用は予備校の受講料が上限となります。

 

4. 独学は可能か

(1) 簿記論

私は、簿記論は市販のテキストや問題集が充実しており独学での合格は十分可能と思います。私も簿記論は2年目の直前期のみTの直前講習の資料会員になりましたが、それ以外は市販の教材で学習して合格しました。私の経験やネットでの合格者の体験記を読むと簿記論は独学でも合格可能と思いますが、5科目全体での早期合格のためには簿記論は1年で確実に合格したいところです。そうすると簿記論も予備校を活用して1年で合格する確率を高めるべきと思います。

 

(2) 財務諸表論

財務諸表論も会計士試験と重なる面があり、市販のテキストや問題集が充実しており独学での合格は可能とは思います。可能ではあるものの、計算はそれほど問題ないと思いますがが、理論については初学者が講義での解説なしに理解したり暗記したりするのは難しいと思います。個々の会計処理や集計ができるようになることと、会計処理の背景となる理論を理解することには大きな違いがあります。予備校の講義を受講するのが短期合格のために最も効率的と思います。

 

(3) 税法

税法は予備校の講義を受講せずに短期合格するのは難しいと思います。市販のテキストや問題集は充実していません。計算では演習不足になることが確実です。理論も予備校の講義での解説なく理解をしたり理論暗記の濃淡(例えば、計算とのリンクや最初から覚えるべき括弧書きや後回しにしてよい括弧書きなど)を把握したりするのは難しいです。また、直近の出題や傾向、改正を踏まえた対応も予備校の手助けなしに学習するのは難しいです。

 

5. 予備校活用のメリット

予備校活用のメリットはいくつかあると思います。デメリットは費用以外にはないと思います。

 

(1) 工夫を凝らした解説・テキスト

各予備校は長年に亘って税理士試験を研究し、分かりやすく効率的な解説・テキストとなるよう工夫を凝らしています。税理士試験は出題形式や傾向、難易度が安定していません。過去問の研究が生かしやすい資格です。受験生が独自に研究して予備校レベルのノウハウを獲得するのは難しく効率的ではありません。

 

(2) 計算演習

TやOではトレーニング、ミニテスト、答練、補助問題と多くの問題が配られます。この中には過去問の改題や過去の答練の焼き直しも含まれています。問題のレベルにもよりますが本番までに概ね2-3回繰り返すことになるでしょう。これら全てを完璧にすると合格レベルとなります。予備校と同程度の量と質の問題を自力で確保するのは難しいです。

 

(3) 理論暗記

上の税法のところでも書きましたが、予備校の講義では重要な論点から順に解説したりミニテストや答練に出題したりします。括弧書きが重要かとりあえず無視してよいかも教えてくれます。手続きの部分も重要か後回しにするか内容や試験での出題傾向を踏まえて教えてくれます。このような理論の濃淡を理マスや理サブを使って独自に把握するのは難しく効率的ではありません。

 

(4) 応用理論

事例問題、横断的問題、趣旨を問う問題などは独自に学習するのは難しいです。予備校の講義での解説や答練などが必要です。

 

(5) 改正対応

こちらの記事税制改正のスケジュールを書きました。12月に大まかな方針が決まり4月に法律が改正されるという流れです。改正論点は税理士試験での最重要かつ頻出項目ですが、スケジュール的に市販のテキストで学習することはできません。予備校では税制改正の流れを見ながら直前期に対応できるように準備しています。ネットで調べるなどして受験生が独自に対策をとることも可能ではありますが、現実的には難しく効率的ではありません。

 

(6) 学習スケジュール

予備校では、講義、ミニテスト、演習が1週間単位や1か月単位でスケジュールが組まれています。年間でも基礎期(9-12月)、応用期(1-4月)、直前期(5-7月)とバランスよくかつ徐々に難易度を上げ、ボリュームを増やし本番にピークがくるようなカリキュラムとなっています。

受験生がバランスよく学習スケジュールを組むのは難しいです。予備校のカリキュラムに従って学習するのが最も効率的と思います。

 

6. 本当のコスパ

会計科目でも税法科目でも独学で合格した人もいます。本人の努力は相当あったのだと思いますし、その人の能力や基礎知識がそもそも高かったり、勉強方法がはまったりしたなど、個別性が強と思います。また、独学で合格したとしても1科目2年以上かかっているのであれば、独学にこだわらず予備校の講義を受講して1年でも早く合格する可能性を高めるべきです。いずれにしても、独学での合格体験は一般的にはあてはまらず、こらから受験する人の参考にならないと思います。

 

合格までの年数がかかれば独学では予備校にかかる直接的なコストがかからなくても、1年余分に勉強するために多くのことを犠牲にすることとなり機会費用は大きいです。また、早期合格すれば有資格者として得られたかもしれない収入の逸失利益も考慮する必要があります。

 

私は、予備校の費用を払ってでも1年でも早く5科目合格する可能性を最大限高めることが、最もコスパがいいと思います。

 

今回はここまでとなります。

AO入試

こんにちは、T-アレックスです。

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12月に入り一般受験を受ける予定の大学受験生にとっては1月に共通テスト、2月に大学別の試験を控えラストスパートの時期でしょう。一方、O入試や総合型選抜では合格発表が続々とされているようです。著名人の合格発表のニュースも出てきています。

今回は受験つながりで大学のAO入試について書いてみたいと思います。

 

1. AO入試の比較

いくつかの大学・学部のAO入試の選抜方法を比較してみました。

東京大学

書類選考、面接試験、共通テスト

東北大学

筆記試験、書類選考、面接試験

慶応大学 総合政策学部環境情報学

書類審査、面接試験

早稲田大学 創造理工学部 建築AO

書類選考、筆記試験(小論文)、面接試験

早稲田大学 国際教養学部

書類審査、筆記審査(英語、エッセイ)

早稲田大学 社会科学部 自己推薦入試

書類審査、小論文、面接試験

明治大学 理工学部 電気電子生命学科

書類審査、学力考査(数学・英語)、口頭試問

明治大学 理工学部 機械情報工学

書類審査、口頭試問(指定する実験についてのプレゼンテーション及びそれに関する事項や志望動機や基礎学

力などの確認)

明治大学 理工学部 建築学

書類審査、成果物等、造形による試験、プレゼンテーション、口頭試問

明治大学 理工学部 応用科学科

書類審査、筆記試験(化学)、口頭試問

明治大学 商学部 公募制特別入試

共通テスト利用

共通テスト(国語、英語、簿記・会計または情報関係基礎)

明治大学 国際日本学部

書類審査 小論文、口頭試問

 

各大学のサイトはこちら

東京大学 400166371.pdf (u-tokyo.ac.jp)

東北大学 r5ao2.pdf (tohoku.ac.jp)

慶応大学 sfc_2022summer_fall_guide.pdf (keio.ac.jp)

早稲田大学 AO方式等による入試 – 早稲田大学 入学センター (waseda.jp)

明治大学 総合型選抜・その他 各入試要項・出願書類ダウンロード|入試総合サイト|明治大学 (meiji.ac.jp)

 

少し調べただけですが各大学それぞれ選抜方法を工夫しているなというのが私の感想です。国立大学はAO入試であっても一定の学力を求めているようですし、私立大学でも特に理系の学科は数学や理科の基礎学力がある学生を求めているようです。

 

2. 大学にとってのAO入試

私が大学を受験した時はほとんどAO入試や総合型選抜はありませんでした。大学側がペーパー試験だけでは測れない人材を獲得するためにAO入試を導入するという理念には共感します。各大学様々な工夫をしていますが、期待にあった学生が入学してきているかどうかは分かりません。偏差値が高く人気の高いトップ層の大学では一般入試だろうがAO入試であろうがどんな選抜方法でもレベルの高い学生が入学してくると思います。

トップ層より下の大学にとっては、どのような選抜方法を採用するかは志望者数と学生のレベルに直結するのではないかと思います。求める学力の水準を下げれば受験者数が増えることが見込まれるものの学生のレベルは低下すると思われます。学校経営として短期的には良いかもしれませんが、社会への良質な人材の供給といった長期的な視点では問題があるかもしれません。どのような学生を獲得するかそのためにどのような試験で選抜するかは大学のブランドの維持・向上のためには大変重要でかつ非常に難しい問題なのだと思います。

 

3. 受験生にとってのAO入試

受験生の視点では、私は自分の希望する大学・学部を自分が最も得意(合格の可能性が高そう)な方法で受験すればよいと思います。一般入試でもAO入試でもどちらでも構わないと思います。小論文の試験問題を見ると結構難しそうなテーマで十分な対策をしないと合格は難しそうです。AO入試の方が一般入試より簡単とは必ずしも言えなさそうです。

新卒時の入社試験では一般入試かAO入試かを問われることはほとんどないと思います。(附属高校からエスカレーターで進学したかどうかは履歴書で分かってしまいます。)大学にどう入ったかより、大学で何をどう勉強したかをきちんと伝えられるかの方が重要です。こちらの記事でも書きましたが、第二新卒を過ぎたら大学名自体が就職活動にほとんど影響しません。

 

大学入試の選抜方法が多様化しており自分に合った選択ができれば有利である一方、事前の情報収集や分析、個別の対策が重要で大変だろうなと思います。AO入試と一般入試のどちらが良いかは個人の適性によるのではないかと思います。

 

今回はここまでとなります。

官報調整

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

11月30日に2022年の税理士試験の結果が発表されました。合格された方はおめでとうございます。

 

今回は都市伝説となっている官報調整について書きたいと思います。

官報調整とは有資格者数が増加しないよう、官報に掲載される5科目目の合格を4科目目までより難しくし、官報合格者数を調整しているのではなかとの噂を言います。5科目目がなかなか合格しなかったり、5科目目は自己採点でボーダーを超えていても合格しないことがあったりするためこのような噂が出回っています。

 

1. 受験者数からの考察

国税庁から公表されているデータを見てみます。

 

 

受験者、合格者、合格率、5科目到達者などの数字は公表されていますが、受験者のうち今回合格すれば官報合格となる受験者(ここでは「官報リーチ受験者」ということにします。)の数は公表されていません。官報リーチ受験者の数が分かれば「5科目到達者」/「官報リーチ受験者」で官報リーチ受験者の合格率が分かり、これを全体の合格率と比較すれば官報調整があるか分かります。「官報リーチ受験者」の数が分からないので角度を変えて考えてみます。

 

官報調整がないと仮定すると、合格率から「官報リーチ受験者」が推定できます。(表のE)税理士試験は毎年平均15%±2%程度の合格率で安定していることを考えると、全受験者のうち官報リーチに達している受験者の割合も一定していると考えられます。

「推定官報リーチ受験者」(E)を「延べ受験者」(A)で割ったものが「推定官報リーチ受験者割合」(F)です。「推定官報リーチ受験者割合」は毎年安定的に10%±2%程度となっており、官報調整がないという仮定と矛盾していないように思えます。

 

(注)最後に複数科目に合格する者を考慮しないなど単純化していますし、統計的な検定をしているものでもありませんので、全く精緻な考察ではなく、ちょっとした頭の体操レベルということで、細かいツッコミはご容赦下さい。

 

2. 官報調整の手間

官報調整しようとするとどのようなやり方が考えられるでしょうか。

受験申込みの段階で各受験生が何科目合格済みかは分かっていますので、受験番号から採点者側で「官報リーチ受験者」を特定することは容易です。

官報調整する場合には次の2つの方法が考えられます。

  • 「官報リーチ受験者」とその他の受験者で採点基準を変える
  • 採点基準は同じで官報合格者数が目標となるように「官報リーチ受験者」の点数を最後に調整する。

「官報リーチ受験者」の受験科目はまちまちで、各科目のその年の試験の難易度やばらつきもまちまちです。どちらの方法を採用するにせよ、各科目で科目全体の合格率を調整しつつ、目標の官報合格者数となるよう科目ごとに「官報リーチ受験者」の点数を調整するのはかなり手間がかかると思います。

 

コンピューターにデータを入力してパラメーターを設定すれば技術的にはそれほど難しくないかもしれません。

試験問題の不備が多く問題の確認態勢は十分でなく、採点に4か月もかかり、ネットで科目別の合格発表もできない人たちがこのような複雑な点数調整をできるとは思えません。

 

3. 官報調整の真相

私は官報調整はないのではないかと思います。私は官報リーチから3回不合格となり、4回目で合格となりました。こちらの記事でも書いたとおり私の場合は自己採点と結果は一致しており官報調整で不合格となったと思ったことはありません。不合格の理由もあります。

では、なぜ「官報調整」という都市伝説があるのでしょうか?私の考えを書きたいと思います。

 

(1) 錯覚

税理士試験は1科目ごとの合格率が10-15%と1科目合格することですら難しい試験です。1科目の合格に数年かかるのも普通です。4科目合格したからと言って最後の1科目が合格しやすくなるものではありません。最後の1科目に数年かかってしまうことは、試験の難易度から考えて普通に起こり得ます。最後だけ合格しづらいというのは錯覚なのではないかと思います。

 

(2) 油断

4科目合格すると税理士試験にも慣れて、どうすれば合格できるのかノウハウが十分に溜まってきます。特に、法人税所得税に合格すると、後はそれより分量が少ない科目のみとなるため簡単に合格できるような気になりますここで油断が生まれ勉強の精度が落ちてしまうのではないでしょうか。今思い返すと、私も法人税を合格したのだから他の税法は合格できるだろうと油断していた面があると思います。法人税ほど計算も理論も精度を上げずに本番に臨んだことが不合格の要因であったと思います。

 

(3)最終科目の壁

税理士試験は自分にとって合格しやすい科目から合格していくので、最後に自分にとって難しい科目・不得意な科目が残りやすいと思います。

① 簿記論

簿記論が最終科目となっている人は計算が不得意なのだと思います。簿記論は入門編なので合格しやすい科目ですが、パズル的な要素もあり苦手な人にとっては難しいでしょう。

 

② 法人税所得税

法人税所得税が最後の場合、これまでに合格した税法よりボリュームが多いため合格は簡単ではありません。

 

③ 相続税

相続税を最終科目としている場合、法人税法所得税法の合格実績があるので、同じように学習すれば合格できそうですがそう簡単でもありません。ボリュームも多く、受験生のレベルも高いため、油断せずに法人税所得税並みの学習をしなければ合格レベルに達するのは難しいと思います。

 

④ ミニ税法

消費税以外のミニ税法を最終科目としている場合、ボリュームは少ないのですが、受験生のレベルは高く差がつきにくいため、必ずしも合格しやすいものではありません。

 

毎年官報合格者は多数出ています。私は4科目目でも5科目目でも合格レベルに達していれば、余裕をもって試験に合格すると思います。不合格となったのは、不運だったからでも官報調整のせいでもなく、合格レベルに達していなかったからだと思います。税理士試験は5科目合格するまで気を抜かず勉強を続けなければなりません。厳しい試験です。

 

今回はここまでになります。

22年度の税理士試験の結果発表の感想

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

11月30日に2022年の税理士試験の結果が発表されました。合格された方はおめでとうございます。

 

1. 固定資産税の結果

 

試験問題の不備があった固定資産税は不備の箇所は全員正解となり没問となったようです。

令和4年度(第72回)税理士試験(固定資産税)の採点について |国税庁

 

固定資産税の合格率の推移は以下の通りです。

22年(令和4年)  18.4%

21年(令和3年)  13.8%

20年(令和2年)  13.5%

19年(令和1年)  13.7%

18年(平成30年)14.9%

17年(平成29年)13.3%

16年(平成28年)14.6%

15年(平成27年)14.8%

 

今年は固定資産税の合格率が高くなったので、今年の固定資産税受験生はラッキーだっだと思う人もいるかもしれません。今年の受験生のうちには不備の箇所を早々に諦めて合格した人もいるでしょう。反対に、不備の箇所に引っ掛かり不合格となった人もいるでしょう。合格した人に何の問題もありませんが、税理士試験は独占資格の資格試験で合否が人生を左右するようなものである以上、私はしっかりと勉強した人が順当に合格するするフェアな試験であるべきと思います。不備の箇所の取捨選択で合否が左右されるのはフェアではなく、占資格の試験としては欠陥があったと言わざるを得ません。

 

「出題に誤りがありましたことを重く受け止め、来年度税理士試験以降の出題に当たっては、万全の態勢で細心の注意を払い、チェック体制の強化等を図って、再発防止に努めてまいります。」と公表されています。どんな再発防止策がとられ、それが公表されるのか気になるところです。

 

税理士試験の変なところはこちらの記事でも書いていますが、今後色々と改善されることを期待します。

 

ここが変だよ税理士試験(試験全般編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

ここが変だよ税理士試験(計算問題編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

ここが変だよ税理士試験(理論問題編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

 

2. 結果発表の方法

今年は結果発表の日程こそ10日から2週間早くなり少しは改善されましたが、ウェブで確認できるのは官報合格のみで、科目の合否については相変わらず郵送のみです。当日に郵便が届かない受験生も多く非常にストレスが溜まります。科目合格者の受験番号をなぜウェブサイトで公表できないか、私には全く理解できません。受験番号だけであれば個人情報の問題もありませんし、技術的にも簡単で誰でもできるレベルです。なぜウェブサイトで公表できないのか国税庁国税審議会から合理的な説明を聞きたいものです。

 

今回はここまでになります。

2年目の科目の攻略法

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

11月30日に2022年の税理士試験の結果が発表されました。合格された方はおめでとうございます。今回は、残念ながら不合格となってしまった科目について、2年目どう臨むべきか私の考えを書きたいと思います。

 

1. 原因分析

前回は私が科目ごとに不合格となった要因を書きました。税理士試験は運良く合格することはありますが、運悪く不合格となることはないと思います。のべ12科目を受験した私の経験からは、不合格となるのは合格レベルに達していなかったからで何らかの原因があるというのが私の考えです。

不合格となった科目については本試験の内容とこれまでの答練や学習を思い出し、自分自身のどこに問題があったか原因を分析しましょう。以下のような点に問題があったのではないでしょうか?

(1) 計算

  • 計算パターンが十分に身についていない
  • 答練で出題された論点を完璧にしていない(答練で類題が出題されたにもかかわらず正解できなかった)
  • 問題の把握が不十分(指示の見落とし、関連する箇所に気づかない)
  • スピード不足

(2) 理論

  • 捨てた論点がある
  • 暗記の精度が不十分
  • 内容の理解が不十分
  • 事例問題の柱挙げができていない
  • 法令の趣旨を理解していない

原因を分析し2年目は同じ過ちを繰り返してはいけません。

 

2. 2年目の科目の学習

2年目の科目は年明けから予備校の上級コースを受講すればいいと思います。試験結果が50点後半と惜しかったとしても直前期からの受講はお勧めしません。2年目で必ず合格するということが最優先なので、1月から勉強を再開すべきです。前年のテキスト・問題集を使用するのもお勧めしません。たとえ、59点で不合格となったとしても、合格発表の時点では59点の実力は既にありません。計算も理論も忘れています。基礎期の学習が済んだ程度に戻っていると考えた方がいいです。もう一度計算も理論もやり直し試験までに1年目より精度を上げる必要があります。

1年目にしっかり学習したのであれば、試験後12月まで勉強しなくても計算も理論もそれなりに覚えているものです。1月の講義開始前にテキストを読み返して感覚をよみがえらせる程度でいいと思います。あとは上級のカリキュラムに沿って学習していけば自然とできるようになるはずです。

2年目の上級の講義や答練は簡単なはずです。理論の演習も始めはべた書きが中心なので覚えなおせば満点が取れますし、計算も一度経験したような問題ばかりなので満点に近い得点が取れると思います。1年目は上級の答練ではなかなか高得点がとれず苦労したと思いますが、2年目は1年目と異なり高得点が取れるはずです。2年目は上級のカリキュラムを完璧にマスターすることが最低限の目標です。2年目にもかかわらず上級の講義・答練が難しいと感じるのであれば1年目の学習が足りていないということです。相当の覚悟をもって学習しないと合格レベルに達しません。

 

私は、税理士試験は2年目が最も合格しやすいと思います。そのためには、不合格の要因を十分に分析し、半年間で自分の1年目に足りなかった点を埋めることが肝要です。

 

今回はここまでになります。参考になればうれしいです。