T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

税理士試験の良くなっている点と今後の改善点

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

前回の記事で税理士士試験がここ数年で色々改善さてきていると書きました。どんな点が改善されて、どんな点がまだ改善が必要か書きたいと思います。

 

1. 改善された点

内容

得点発表

第68回

2018

試験問題及び答案用紙公表

第69回

2019

出題のポイント公表1か月短縮

第73回

2023

合格発表2週間短縮

第73回

2023

 

(1) 得点発表

2017年までは合格点に達しなかった科目はA~D(A:59~50点、B:49-~40点、C:39~30点、D:29点)のランクが通知されていました。2018年から得点が発表されるようになりました。模範解答や採点基準は公表されていないので、ランクから得点への変更だけではあまり実質的な改善とは言えませんが、役所が長年の慣習を変更したという意味で進歩と思います。

(2) 試験問題及び答案用紙

2019年から試験問題及び答案用紙が国税庁のサイトで公表されるようになりました。試験問題は受験生が持ち帰ることができます。TOEICのように試験問題を回収するような試験ではないので、特に秘密にするようなものではないと思います。誰でも簡単にウェッブ上で試験問題及び答案用紙が取得できるようになったのは小さな進歩と思います。

(3) 出題のポイント

2022年までは出題のポイントが試験から2か月後の10月初旬に公表されていました。2023年は9月1日に公表されました。出題のポイントは受験生にとっては有益な情報で、試験からあまり間が空かずに公表されるようになったのは良いことだと思います。出題のポイントは問題を作成するときにはできていて、試験後すぐに公表することも可能のはずです。昨年のように問題の不備が試験後に発覚すると出題のポイントの記載を修正する必要があるので、予備校の解答や受験生の反応を見てから公表したいのだと想像します。今年より早く公表するのは難しいのではないかと思います。

(4) 合格発表

2022年までは合格発表が12月の第2金曜日でした。今年は11月30日(木)と2週間早まりました。税理士試験は試験から合格発表までの長さが問題でしたので、2週間とはいえ短縮されたのは良いことと思います。

 

2. 今後改善してほしい点

税理士試験の問題点についてはこちらの記事でも書いていますが。今回改めて私の意見をまとめてみました。

ここが変だよ税理士試験(試験全般編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

ここが変だよ税理士試験(計算問題編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

ここが変だよ税理士試験(理論問題編) - T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

(1) 合格発表のさらなる短縮

昨年までは試験から合格発表まで4か月かかっていました。2023年から2週間短縮されましたがそれでも3か月半あります。税理士試験の場合、同じ科目を学習するのか次の科目に進むかどうかが受験生にとって大きな問題です。翌年に向けた学習計画を早めに作り、無駄な予備校費用の支払いを避けるために合格発表までの期間さらなる短縮が求められます。記述式の試験なので採点に時間がかかることは理解しますが、もう1か月は短縮し10月末には結果が出たら受験生にとって良いと思います。

(2) 科目合格者のネットでの発表

官報合格者は官報に受験番号が掲載される(注:今年から氏名は掲載されません。)ので合格発表日に結果を知ることができます。一方、科目合格者は通知が郵送されてくるのを待つ必要があります。この待ち時間は無駄で何の意味もありません。受験生が結果待ちでいらいらするだけです。番号をウェブで公表するだけであれば科目合格者でも容易なので出来ない理由は見当たりません。今年からでも科目合格者もウェブで発表すべきです。

(3) 模範解答の公表

出題のポイントは公表されていますが、大まかな記載にとどまっています。計算では別解があることもありますので、模範解答の公表が望まれます。

(4) 絶対評価への変更

税理士試験は60点を取得すれば合格することとなっていますが、実際には得点調整により各科目合格率が10-15%程度に調整されていることは明らかです。

資格試験は税理士に限らず、その資格を有するために十分は知識を持っているのであれば資格を与えるべきです。この点、無制限に受け入れるわけにはいかず相対試験にせざるを得ない学校の入学試験や入社試験とは決定的に異なります。絶対評価の試験とすることが資格試験として正しい姿と私は思います。資格取得はスタートラインで、人数調整は資格試験で行われるべきものではなく、仕事を通じて市場原理によりなされるべきものです。

(5) 試験の年2回実施

1年に1回しか試験がないというのは受験生にかなり負担で、長期化の大きな要因となっています。年2回試験があれば短期間での合格の可能性が高まります。5科目トータルとなるとこのロスは数年分となります。受験勉強に年月をかけすぎないようにするために年2回の試験実施が望ましいと思います。

(6) 法規集の持ち込み

税法では法規集の持ち込みを許可すべきです。法律をまとめただけのいわゆるべた書きの暗記は意味がありません。法規集を持ち込み可にして法律をいかに運用できるかの試験とすべきです。そのような問題が作れないのであれば試験委員の能力がないかその科目が試験にふさわしくないかのどちらかと思います。

(7) 一部科目の廃止

相対評価を継続するのであれば、予備校の予想配点で90点以上が合格果実となるような一部のミニ税法は試験から廃止すべきです。結局、試験範囲が狭く応用の余地が少ないため相対試験の科目としては不適切です。

(8) 試験時間と分量の調整

こちらの記事でも書きましたが、現状の試験内容では問題の取捨選択や時間配分が合否に大きな影響を与えます。上位者合格者であれば全部の問題を解答しきれるように試験時間を長くするか、分量を調整して2時間で解ききれる問題にすべきと思います。税理士としての能力や適性と無関係な取捨選択や時間配分で合否が決まるのは資格試験として不適切です。

 

今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。