T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

日商簿記1級

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

以前、日商簿記2・3級については記事を書きました。今回は日商簿記1級について書きたいと思います。

日商簿記1級は税理士試験と重ならない論点も多く、税理士試験合格者でも取得していない人も多いです。

私は税理士試験の延長で日商簿記1級を取得するのも良いのではないかと思います。

 

1. 試験概要

日商簿記の公式情報はこちらで確認してください。

簿記 | 商工会議所の検定試験

(1) 簿記2級との比較

① 試験範囲

試験科目は1級では会計学原価計算が2級から追加となっておりますが、それぞれ商業簿記と工業簿記の延長といった内容です。

日本商工会議所が発表する出題区分表をみると、1級と2級で一見それほど違いはないように見えますが、各分野の深度や試験問題の難易度に大きな違いがあります。連結や工業簿記・原価計算は格段に難しくなっています。

 

市販のテキストでは、2級が商業簿記原価計算1冊ずつの計2冊、1級が商業簿記会計学で3冊、工業簿記・原価計算で3冊の計6冊が標準のようです。学習時間もテキストの量に比例し1級の学習時間は2級の3倍は必要でしょう。

 

② 合格基準

合格基準については、1級、2級ともに70%以上と公表されていますが、2級は試験の難易度にかかわらず70点以上の得点をとれば合格できますが、1級は合格率10%程度の相対試験と言われています。合格率をみても2級は回によってばらつきが大きいものの、1級は10%前後でばらつきは少ないです。

1級は科目ごとの最低点が設定されているのも特徴です。1問25点ですので最低10点は獲得する必要があり、各科目偏りがないように学習する必要があります。

 

③ 受験方法

1級は年2回の会場試験のみで、ネット試験はありません。受験するチャンスが少ないので注意が必要です。

 

(2) 簿財との比較

(1) 試験範囲

簿記1級と税理士試験(簿記論・財務諸表論)との最大の違いは試験範囲です。まずは、連結会計です。簿記1級には連結会計の学習が必須で内容も難しいです。連結会計は簿記論でも69回(2019年)、71回(2021年)と出題されていますが、頻出論点とはいえず税理士試験の受験者には手薄な分野といえます。

次に、工業簿記・原価計算は税理士試験の範囲外です。工業簿記は簿記2級の範囲ですが、得点源となっていた簿記2級の工業簿記と異なり、簿記1級の工業簿記・原価計算は難しいです。

この試験範囲の違いが税理士試験受験生が簿記1級を取得するための最大のハードルとなります。

連結会計以外の商業簿記は簿記論を学習済みであれば問題ないはずです。

理論については簿記1級でも会計学で出題されますが財務諸表論に比べれば相当容易です。

 

(2) 試験時間・問題量

簿記1級はきちんと学習をしていれば何とか時間内に解き終えることができます。簿記1級では問題の取捨選択をする必要がなく、その点では税理士試験より精神的に楽です。

 

(3) 難易度・学習時間

私は、簿記1級は難しいものの簿記論ほどではないと思います。試験範囲はそれなりに広く、連結、工業簿記・原価計算は簿記1級用の試験対策が必要ですが、簿記論・財務諸表論の学習経験が活かせます。税理士試験でスピードを鍛えた人であれば試験の分量も制限時間内に解答でき良心的と感じるでしょう。

会計士受験生も受験する相対試験のため決してハードルは低くはありません。

とはいえ、2級が合格済みであることと簿記論・財務諸表論を学習済みであることを前提として、8月の税理士試験後からしっかり学習すれば11月の試験に合格できると思います。

 

2. 推奨度

私は、日商簿記1級については以下の点から取得をお勧めします。とはいえ、税理士資格取得のために必須ではないので無理に取得する必要はないと思います。

  • 経理・会計のレベルアップに必要な連結・工業簿記・原価計算について高度な学習することができる。
  • 税理士試験の簿記論・財務諸表論のより知名度があり、経理・会計の高度な知識を有している証明になる。
  • 8月の簿記論受験後から合格発表までに期間があり11月に日商簿記1級を受験するのが簿記の学習を継続する点で適している。ただし、6月の試験は税理士試験の学習と重なるため受験しない方がいい。

 

参考になれば幸いです。今回はこれまでとなります。

 

3. テキスト(参考)

最低限必要なのは、テキストと問題集で12冊+過去問の合計13冊でしょう。

 

(1) 商業簿記会計学のテキスト

(4) 工業簿記・原価計算の問題集

(5) 過去問