T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

独学はお勧めしない

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。

 

今回は税理士試験を独学で学習することについて書きたいと思います。

 

1. 独学の定義

私の独学の定義は予備校を一切利用せずに市販のテキスト・問題集のみ(TやOの市販の教材を含む)で学習することをいい、資料通信も受講しないことを言います。

 

2. 優先順位

働きながら税理士試験を合格するために何が最も重要でしょうか?私は4-5年で短期合格することが最も重要と考えています。とにかく一刻も早く税理士資格を取得できる条件を満たすことが大事ですし、こちらの記事で書いた通り合格までに年数がかかるとキャリアプランに影響します。

最も安く税理士試験に合格することを優先する人もいるかもしれません。そのような人は私とは優先順位が異なりますのでこの記事は参考になりません。

 

3. 費用

こちらの記事に書いた通り、各科目1年で順当に合格した場合の5科目合格までの最大の費用はTまたはOの講座を受講したときの約100万円です。大学受験などの場合予備校の講座や参考書・問題集にいくらでもお金をかける余地がありますが、税理士試験の場合、大手予備校の講座で必要十分なので1科目1年あたりの費用は予備校の受講料が上限となります。

 

4. 独学は可能か

(1) 簿記論

私は、簿記論は市販のテキストや問題集が充実しており独学での合格は十分可能と思います。私も簿記論は2年目の直前期のみTの直前講習の資料会員になりましたが、それ以外は市販の教材で学習して合格しました。私の経験やネットでの合格者の体験記を読むと簿記論は独学でも合格可能と思いますが、5科目全体での早期合格のためには簿記論は1年で確実に合格したいところです。そうすると簿記論も予備校を活用して1年で合格する確率を高めるべきと思います。

 

(2) 財務諸表論

財務諸表論も会計士試験と重なる面があり、市販のテキストや問題集が充実しており独学での合格は可能とは思います。可能ではあるものの、計算はそれほど問題ないと思いますがが、理論については初学者が講義での解説なしに理解したり暗記したりするのは難しいと思います。個々の会計処理や集計ができるようになることと、会計処理の背景となる理論を理解することには大きな違いがあります。予備校の講義を受講するのが短期合格のために最も効率的と思います。

 

(3) 税法

税法は予備校の講義を受講せずに短期合格するのは難しいと思います。市販のテキストや問題集は充実していません。計算では演習不足になることが確実です。理論も予備校の講義での解説なく理解をしたり理論暗記の濃淡(例えば、計算とのリンクや最初から覚えるべき括弧書きや後回しにしてよい括弧書きなど)を把握したりするのは難しいです。また、直近の出題や傾向、改正を踏まえた対応も予備校の手助けなしに学習するのは難しいです。

 

5. 予備校活用のメリット

予備校活用のメリットはいくつかあると思います。デメリットは費用以外にはないと思います。

 

(1) 工夫を凝らした解説・テキスト

各予備校は長年に亘って税理士試験を研究し、分かりやすく効率的な解説・テキストとなるよう工夫を凝らしています。税理士試験は出題形式や傾向、難易度が安定していません。過去問の研究が生かしやすい資格です。受験生が独自に研究して予備校レベルのノウハウを獲得するのは難しく効率的ではありません。

 

(2) 計算演習

TやOではトレーニング、ミニテスト、答練、補助問題と多くの問題が配られます。この中には過去問の改題や過去の答練の焼き直しも含まれています。問題のレベルにもよりますが本番までに概ね2-3回繰り返すことになるでしょう。これら全てを完璧にすると合格レベルとなります。予備校と同程度の量と質の問題を自力で確保するのは難しいです。

 

(3) 理論暗記

上の税法のところでも書きましたが、予備校の講義では重要な論点から順に解説したりミニテストや答練に出題したりします。括弧書きが重要かとりあえず無視してよいかも教えてくれます。手続きの部分も重要か後回しにするか内容や試験での出題傾向を踏まえて教えてくれます。このような理論の濃淡を理マスや理サブを使って独自に把握するのは難しく効率的ではありません。

 

(4) 応用理論

事例問題、横断的問題、趣旨を問う問題などは独自に学習するのは難しいです。予備校の講義での解説や答練などが必要です。

 

(5) 改正対応

こちらの記事税制改正のスケジュールを書きました。12月に大まかな方針が決まり4月に法律が改正されるという流れです。改正論点は税理士試験での最重要かつ頻出項目ですが、スケジュール的に市販のテキストで学習することはできません。予備校では税制改正の流れを見ながら直前期に対応できるように準備しています。ネットで調べるなどして受験生が独自に対策をとることも可能ではありますが、現実的には難しく効率的ではありません。

 

(6) 学習スケジュール

予備校では、講義、ミニテスト、演習が1週間単位や1か月単位でスケジュールが組まれています。年間でも基礎期(9-12月)、応用期(1-4月)、直前期(5-7月)とバランスよくかつ徐々に難易度を上げ、ボリュームを増やし本番にピークがくるようなカリキュラムとなっています。

受験生がバランスよく学習スケジュールを組むのは難しいです。予備校のカリキュラムに従って学習するのが最も効率的と思います。

 

6. 本当のコスパ

会計科目でも税法科目でも独学で合格した人もいます。本人の努力は相当あったのだと思いますし、その人の能力や基礎知識がそもそも高かったり、勉強方法がはまったりしたなど、個別性が強と思います。また、独学で合格したとしても1科目2年以上かかっているのであれば、独学にこだわらず予備校の講義を受講して1年でも早く合格する可能性を高めるべきです。いずれにしても、独学での合格体験は一般的にはあてはまらず、こらから受験する人の参考にならないと思います。

 

合格までの年数がかかれば独学では予備校にかかる直接的なコストがかからなくても、1年余分に勉強するために多くのことを犠牲にすることとなり機会費用は大きいです。また、早期合格すれば有資格者として得られたかもしれない収入の逸失利益も考慮する必要があります。

 

私は、予備校の費用を払ってでも1年でも早く5科目合格する可能性を最大限高めることが、最もコスパがいいと思います。

 

今回はここまでとなります。