T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

税理士試験受験生の転職

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

今回は税理士試験受験生の転職のお話です。

 

税理士試験の受験生の中には簿財合格後や税法1科目合格後に転職を考えている人もいるのではないかと思います。

転職が税理士試験にどう影響するのか私の考えを書きます。

 

転職した直後の試験に合格するのは難しいと思います。また、その次の年の試験にも影響が出る可能性が高いです。

 

1. 転職直後の試験

転職後数カ月間は仕事や職場環境に慣れる期間で、体力的にも精神的にもこれまで通りの勉強量を確保するのは困難です。社会人としてどこかの会社に雇われて給料をもらっていますので、仕事をきちんとやり成果を出すことが試験勉強より優先します。実際の始業時間や終業時間、残業の多寡、土日の仕事の有無などを把握して初めて、1日のうちどこで勉強することができるか、平日は何時勉強できるか、1週間のうちどのくらい勉強ができるか勉強の計画を立てることが出来ます。仕事と勉強とのバランスを取れるようになるまで数カ月はかかるのではないかと思います。

 

運よく8月の試験直後から転職活動を開始し早期に転職ができたとしても、年内の学習量が不足する可能性が高いです。年明けの転職となると応用期や直前期の学習量が不足する可能性が高く、合格の可能性がかなり下がってしまいます。

 

2. 次の年の試験

一般的には、どんな会社でも繁忙期があります。繁忙期には勉強時間が確保できませんので、繁忙期前に勉強を先行させておいたり、繁忙期後に勉強量を増やして挽回したりするなど、年間を通したスケジュール管理も重要となります。税理士試験はGWから8月の試験までの直前期には勉強のペースを上げて本番に向けてピークを持っていかなければなりません。新しい職場では直前期に勉強時間を確保できるか読めません。

1年間働いて繁忙期や直前期の状況を実際に経験してみないと、どの時期にどの程度勉強時間が確保できるかわからず、翌年の学習スケジュールを立てるのも難しいです。これが次の年の試験にも影響が出る可能性が高いと書いた理由です。

 

私は、4科目合格後に転職をしたのですが、転職先の仕事が忙しくほとんど勉強できなかったため8月の試験は不合格となりました。その後も仕事が忙しく翌年は受験せず、試験勉強を再開するまでに時間を要してしまいました。

 

3. 人生プラン

試験の合格だけを考えるのであれば、勉強時間が確保できている慣れた環境を変えない方がいいと思います。試験の合格はスタートラインですので、なるべく早く試験に合格した方がいいです。合格が遅くなるとその後の人生プランに影響が出ます。

 

一方で、税理士試験の合格は人生の最終目標ではなく一つの手段にすぎません。たとえ短期的には税理士試験の合格の可能性が低くなり資格取得までの年数が少し多く掛かってしまったとしても、収入アップや業務経験のために転職をするというのもありだと思います。

 

結局は、ご自身の長期的な人生プランを考えて、後悔のない選択をするしかないと思います。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。

所得税の確定申告 e-Taxと郵送

こんにちは、T-アレックスです。

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今回は税理士試験ではなく確定申告のお話です。

 

2月に入り確定申告の季節になりました。サラリーマンであっても、ふるさと納税、医療費控除、住宅ローン控除(1回目)、転職した場合などで所得税の確定申告が必要な場合があり確定申告の経験がある人は多いのではないでしょうか。

私は税理士事務所勤務ではない会社員なので他人の確定申告の事務の経験はないのですが、自分の所得税の確定申告は何回かしたことがあります。

 

所得税の確定申告の方法には、e-Tax②郵送③税務署の窓口で申告の3つの方法があります。

 

本来は①e-TaxでPCやスマホで手続きが完結できれば便利なのですが、依然としてe-Taxは使用開始までの手続きが面倒くさいです。e-Taxで申告をするために以前はカードリーダーが必要でしたが、今はカードリーダーがなくても使えるのでその点は便利になりました。e-Taxマイナンバーカード方式ID・パスワード方式で使えます。

マイナンバーカード方式の場合、あらかじめマイナンバーカードを取得する必要があります。マイナンバーカードの取得には申請して、1カ月程度したから交付通知書が届き、窓口に行って暗証番号を登録します。

マイナンバーカードがなくてもID・パスワード方式を使うことが出来ますが、PC/スマホでの届け出後、最寄りの税務署の窓口での本人確認が必要となっているようです。

いずれにしても、確定申告をしようと思ってもすぐにはネットで手続が完結できないので不便です。

 

②の郵送の場合には、国税庁の確定申告書等作成コーナーから申告書を作成し必要書類を添付して所轄の税務署に郵送します。申告書の作成部分はe-Taxと同じようです。

【確定申告書等作成コーナー】-作成コーナートップ

納付の場合は「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を申告書とともに提出すれば振替納税となり自動的に指定した銀行口座から引き落とされます。(所得税は令和4年4月21日が振替日のようです。)クレジットカード決済をすることも出来ますが、クレジットカード決済は手続きが完了すると取消しが出来ません。申告を修正して納付税額が減る場合には別途還付の手続きが必要になるので、私は振替納税の方が使い勝手が良いと思います。

還付の場合は、申告書の記載欄に銀行口座を記載しておけば自動的に振り込まれます。

税金の納税や還付手続について:令和3年分 確定申告特集

 

複雑な申告でなくかつ普通にPCが使えるのであれば、所得税の確定申告は国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作成して郵送するが最も簡単ではないかと思います。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。

税理士試験の科目別学習ポイント(財務諸表論編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

今回は財務諸表の学習のポイントについてのお話です。

 

1. 試験の概要

(1) 問題構成

財務諸表論は大問三問の構成で配点は第一問25点、第二問25点、第三問50点と毎年決まった問題構成となっています。

(2) 第一問、第二問

第一問と第二問は理論です。空欄補充問題、選択問題と数行程度の記述式の問題が数題出題されます。

(3) 第三問

決算整理型の総合問題形式で貸借対照表損益計算書を作成させる問題が毎年出題されます。これに明細、キャッシュフロー計算書や注記などの作成が加わることがあります。

 

2. 難易度

財務諸表論の合格率は15-20%程度と他の科目と比して高くなっています。理論は税法と比べると暗記量も試験での解答量も少ないです。計算は出題形式も難易度も一定で、簿記論の第三問より易しく高得点が取りやすいです。

税理士試験の登竜門的な科目で、全科目で最も合格しやすい科目といってもいいと思います。

 

3. 合格への戦略

(1) 簿記論との同時学習

財務諸表論は簿記論との同時学習が効率的だと言われています。理論を学習することで計算の理解が深まるという面もありますが、簿記論を学習していれば財務諸表論の計算の学習が最低限でよく、2科目合計での学習時間が少なくなるというのが最大の利点です。1+1=1.5になるイメージです。働きながらでも簿財同時合格を狙うことが可能で、実際に働きながら簿財同時合格をした人も多いようです。短期間で官報合格を果たすためには1年で簿財両方の合格を目指すのが効率的です。

ただし、同時学習によりそれぞれの科目の合格の可能性が高まるものではないと思います。以下の記載は簿財同時学習を前提としています。

 

(2) 計算問題の傾向

財務諸表論の計算問題は、問題形式も難易度も安定しています。簿記論の総合問題より易しいので本番では40-45点が目標となります。簿記論との同時学習又は簿記論学習後である場合には、財務諸表論の計算にはあまり時間をかける必要がありません。答練高得点を取れている限り復習も最低限で構いません。ただし、簿記論では学習しない注記は油断せずに書けるようにしておきましょう。毎年出題されるものではありませんが、出題された時に差がつきます。

 

(3) 理論問題の傾向

税法では何十題もの理論暗記が必要で、試験でも理マス・理サブ数ページ分の解答が求められますが、財務諸表論の理論はそれほどの量はありません。また、事例問題は出題されません。

空欄補充問題や選択問題が多く出題されます。会計用語や会計処理の理由や背景を会計基準の記載に従って確実に覚える必要があります。記述式問題の1問当たりの解答量は数行程度です。また、近年では概念フレームワークからの出題が多くなっています。

 

(4) 時間配分

時間配分は理論40-50分、計算70-80分が標準的です。理論は記述量が多くないのでそれほど時間がかかりません。理論⇒計算の順で解く人の方が多いと思います。注意点は選択問題で悩みすぎないことでしょうか。計算に十分時間をかけて高得点を取りましょう。理論の時間に注意して答練を解けば時間配分は身に付くと思います。

 

4. 学習方法

(1) 計算

計算については、簿記論の学習していることを前提に、予備校の問題集や答練をスケジュール通りにやっていれば自然に合格レベルに達することができると思います。簿記論や税法の計算問題では初回を合わせて最低3回は解く必要があると言われていますが、簿記論との同時学習であれば、初回で高得点が取れたものについては解き直す必要はなく、それ以外の答練を1度解き直せば十分ではないかと思います。

 

(2) 理論

理論は税法に比べると量は少ないのですが、理論の学習自体が初めての人にとっては理論の学習は難しいと思います。

本番の試験では語句の空欄補充問題が多く出ますので、まずは会計用語を正確に覚える必要があります。

選択問題では理論の理解が問われます。講義やテキストで理論の理解を深めておかなければ選択問題を正解するのは難しいです。

記述問題では、理論テキストのポイントに記載されている内容がそのまま問われることも多いです。講義やテキストで内容を理解しつつ、ポイント部分は暗記しましょう。記述問題ではある程度自分の言葉で書いても大丈夫ですが、会計用語は正確に使う必要があります。

 

近年の試験では概念フレームワークからの出題も多いです。概念フレームワークに出てくる用語の暗記や内容の理解も重要です。

予備校の講義で解説を聴いた後、一度原文に目を通しておくことをお勧めします。40ページ程度ですのでそれほど分量は多くないです。

討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の公表|企業会計基準委員会:財務会計基準機構

 

財務諸表論の理論学習では、予備校の理論テキストの内容を暗記していくことになります。税法と異なり財務諸表論は理論テキストのみで予備校が暗記用に理論をまとめてくれた理論マスターや理論サブノートはありません。私は、テキストのポイント部分のみを抜粋し、まとめノートを作成するのがいいと思います。以前の記事で書いた間違いノートに似たものです。

 

引当金を例にするとこんな感じです。

引当金

・意義 引当金とは、①将来の費用・損失を②当期の費用・損失として③あらかじめ見越計上したときの貸方項目

・計上要件 ①将来の特定の費用又は損失、②その発生が当期以前の事象に起因、③発生の可能性が高い、③金額を合理的に見積もることができる

・計上根拠 ①適正な期間損益計算を行うため、②発生主義の原則を根拠

 

5. 予備校の活用と学習スケジュール

会計理論の学習は会計処理のみの習得で済む簿記の学習とは大きく性質が異なります。市販のテキストもありますが、独学で理解するのは容易ではありません。予備校の講義を受けた方が効率的です。

簿記論との同時学習の場合、財務諸表論のボリュームを考えると年明けからの速習コースでも間に合います。実際に年明けからの速習コースで合格した人も多いと思います。とはいえ、年明けからの学習開始は、働きながら簿財同時合格を目指すにはぎりぎりのスケジュールです。理論の習得に手間取ると本番に間に合わなかったり、簿記論の学習にしわ寄せが来たりする恐れがあります。財務諸表論も9月から学習を開始して理論を回す回数を多くすることを強くお勧めします。

 

私は、財務諸表論の学習を1月から開始して8月の試験で合格しましたが、簿記論は不合格でした。簿財同時合格が出来なかった理由の一つは、年明けから財務諸表論の理論学習に時間を取られ簿記論の学習が十分ではなかったことにあると思っています。

 

簿財同時合格をするためには計画的に学習を進めましょう。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。

税理士試験 簿記論第三問のアプローチ

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

以前の記事で簿記論は問題形式や問題のレベルが安定している第三問で得点を稼ぐのが定石と書きました。今回は簿記論第三問の学習のポイントについてのお話です。

 

私は第三問の解答のポイントは次の3点にあると思います。

・仕訳

・各勘定科目の正確な処理

・T勘定

 

第三問の解答の手順は以下の通りとなります。

①仕訳⇒②該当する勘定科目の加減算⇒③各勘定科目の集計⇒④解答用紙に転記

一連の作業を正確かつ素早く行う必要があります。

 

(1) 仕訳

簿記論の試験ですので各設問で必ず仕訳が生じます。簡単な仕訳であれば頭の中で仕訳を行い、複数の勘定科目が関係するものなど複雑な仕訳は計算用紙に仕訳を書きます。計算用紙に仕訳を書くと正確性は上がりますが時間がかかります。簿記論の試験は時間との勝負でもありますので、仕訳を計算用に資書くか、頭の中で済ますかの判断は非常に重要です。

 

(2) 各勘定の正確な処理

仕訳ができたら次に該当する勘定科目を加減算していきます。仕訳を勘定科目ごとばらして加減算することになるので全ての勘定科目の処理を忘れずに行うこと、また、貸借を間違えずに処理しなければなりません。

慣れないうちは一部の勘定科目の処理漏れ、貸借やプラスマイナスの間違えなどが多発すると思います。途中の仕訳までは合っていても、答えの数値が合っていなければ点数になりませんので、正確な処理ができるようにすることが重要です。

 

(3) T勘定

各勘定科目の加減算には、(i)計算用紙にあるT勘定を使用する方法と(ii)問題用紙の試算表に直接書き込む方法の2つの方法があります。

  • T勘定を使用すると集計のミスが起こりにくくなりますが、最初に決算整理前試算表から計算用紙に転記する必要があるなど時間がかかります。
  • 問題用紙の試算表に直接書き込むと計算用紙への転記がなく時間のロスがなくなりますが、処理数が多くなると見づらく集計ミスが起こりやすくなります

処理数が多くなりそうな勘定科目はT勘定を使用し、その他処理の少ない勘定科目は問題用紙に直接書き込むのが一般的です。T勘定を使用するか問題用紙に直接書き込むかの判断は時間との勝負なので仕訳と同様に非常に重要です。

 

これらは、答練を通じて訓練し最適な方法を習得しなければなりません。(1)の仕訳は、私は、2行以上の仕訳になるものは仕訳を計算用紙に書いた方がいいのではないかと思います。勘定科目を短縮形にするなど時間短縮のための工夫も必要と思います。(2)の処理については、ミスの傾向は人によって違いますので、答練での間違えを分析してミスを減らすにはどのようにすれば良いか自分自身で工夫しなければなりません。(3)のT勘定については、私は、現金預金、売上、仕入売掛金、買掛金、繰越商品など動きが多くなりそうなものはT勘定を使用していました。答練を通じて本番までに勘定科目ごとT勘定を使用するか問題用紙に直接書き込むのが良いかを決め、本番で迷ってはいけません。

 

ありきたりの結論ですが、簿記論は演習あるのみです。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。

税理士試験の科目別学習ポイント(簿記論編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

今回は簿記論の学習のポイントについてのお話です。

 

1. 試験の概要

(1) 問題構成

簿記論は大問三問の構成で配点は第一問25、第二問25、第三問50点と毎年決まった問題構成となっています。

 

(2) 第一問、第二問

第一問と第二問はテーマが限定された個別問題も出題されますが、簿記一巡、推定簿記、本支店会計、連結会計キャッシュフロー計算書など総合問題形式での出題も多くなっています。

 

(3) 第三問

決算整理型の総合問題が出題されます。毎年出題形式は同じようです。

 

2. 難易度

簿記論は予備校の配点でボーダーが40点台となることがあるなど問題は難しいと思います。出題範囲は簿記2級の商業簿記と大きな差はないですが、簿記2級の合格直後に本試験問題を解いても10点ぐらいしかとれないのではないでしょうか。

単純な仕訳で正解となる問題が少なく、特に総合問題形式の問題では勘定科目間の関係を十分に理解しなければ問題が解けません。

税法の計算問題と比べると問題間の関連が強く、部分点を取るのが容易ではありません。例えば、法人税の計算問題では、減価償却と役員給与の問題は独立しており部分点が狙えます。一方で、簿記論では、売上、仕入、売上原価、棚卸資産売掛金、買掛金、現金預金などが相互に関連しており、相互の関係を正確に理解しないと正解が出せない問題が多いです。もちろん、賞与引当金など単独で解答できる問題もあり、そのような問題は確実に正解しなければなりませんが、総合問題からそのような簡単な問題を素早く把握するのにも訓練が必要です。本番の試験で難易度別に問題に★印など付いていません。

 

3. 合格への戦略

(1) 目標得点と取捨選択

問題形式や問題のレベルが安定している第三問で得点を稼ぐのが定石となっています。他の受験生が正解できる箇所を確実に正解し、その年の問題の難易度にもよりますが概ね25-30点/50点が合格ラインとなっています。

問題形式や問題のレベルが年によって異なる第一問、第二問が厄介です。標準からやや難ぐらいの問題は正解しないと合格することはできませんが、難しい問題はできなくても合格できます。第一問、第二問の難易度は問題を解いてみないと判別できず、時間配分との兼ね合いもあり非常に難しいです。

(2) 時間配分と解答の順番

第三問で確実に得点をしなければならないため、第三問に60-70分の時間を掛けるのが標準的です。

解答の順番も難しいところです。

第一問・第二問から解く場合には、第一問・第二問で難しい問題が出ると時間を使った割に解答できた箇所が少なく得点が伸びないことがあります。第三問にかける時間を計算して時間を使いすぎないようにしなければなりません。

第三問は時間をかければかけるほど点数が取れそうですが、第一問・第二問のために時間をかけすぎないようにする必要があります。

どちらを先に解答するにしても、2時間では全てを解答しきることはできませんので時間配分が重要となります。

 

4. 簿記論への適正

私は簿記論の問題は数学の問題に似ていると思います。高度な数学が必要という意味ではありませんが、問題へのアプローチは似ていると思います。

税法の計算では、法令や通達の規定を当てはめて、A(設例)⇒A’(課税標準額)といった解答をする問題が多いです。一方、簿記論では税法のような単純に会計処理をあてはめてA(設例)⇒A’(仕訳)という問題もありますが、A(設例)から勘定科目間の関係を使ってA⇒B⇒C⇒D⇒Eと求めていく問題も多く出題されています。このような問題は、与えられた条件や定理を使って順々に解答を導き出す数学の問題に近いと思います。

また、問題の取捨選択についても見ただけでは難易度の判別が難しく、解いてみなければ判断が付かないという点でも数学に似ているのではないかと思います。

学生時代に数学に苦手意識があった人には簿記論は難しく感じるのではないでしょうか。このあたりが税法の合格者でも簿記論が長期化している人がいる要因ではないかと私は思います。

 

5. 学習のスケジュール

(1) 簿記2級

簿記論の学習の前にまずは日商簿記2級を取得しましょう。簿記2級の商業簿記の範囲は簿記論と被ります。工業簿記は簿記論の出題範囲ではありませんが簿記2級の工業簿記は簡単です。こちらの記事でも書きましたが、簿記2級を3カ月で取得できないようであれば税理士試験に挑戦しない方がいいと思います。

 

(2) 個別論点の習得

簿記2級を取得したら、予備校の講義や参考書をしようして個別の論点の学習をします。トレーニングや問題集を用いて個別論点を習得します。年内に一通りの論点の学習を完了させましょう。簿記2級を取得していれば個別論点の理解はそれほど難しくはないと思います。

 

(3) 問題演習

年明けからは本格的な問題演習となります。総合問題形式の問題を数多く解き、問題の取捨選択と時間配分を答習得しなければなりません。第一問・第二問から解くのか、第三問から解くのか答練を通じて自分に合った方法を見つけ、試験本番では解答順を迷ってはいけません。

私が考える簿記論の合格レベルは、自分が解けない問題は他の受験生も解けないと自信をもって正しい問題の取捨選択ができるようになることだと思います。このレベルに達すれば答練の点数は高得点で安定します。

 

6. 独学か予備校か

簿記論は、税理士試験の科目の中で唯一独学でも合格可能な科目と思います。

とはいえ、問題演習を数多くこなす必要があり、個別問題集と総合問題集、過去問と多くの問題集を購入することになります。初見の問題への対応力をつけることも重要です。これらを考慮すると資料通信でもよいので予備校の講座を受けた方が時間的にも費用的にも効率的なのではないかと思います。こちらの記事でも書いたとおり、予備校の選択においては演習が多いところの方が良いと思います。

私は、1年目は簿記の勉強の延長でなんとなく税理士試験を受験しており、予備校の講義を受けようとすら考えませんでした。市販の参考書、問題集、過去問で学習し結果は不合格でした。2年目も直前期までは同様の学習スタイルでしたが、演習不足を感じて直前期の資料通信を受講して演習不足を補い、2年目で合格しました。

簿記論だけで見れば2年で合格したので悪くはないのですが、1年目から予備校を活用した方が良かったのではないかと思っています。1年で簿記論を合格できなかったことでその後の税法の学習に影響があり、少しずつ合格が遅れていったのではないかと感じています。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。

中学受験の方が過酷

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

今回は中学受験についてのお話です。

以前の記事で大学受験の経験は税理士試験に活きると書きました。では、中学受験はどうなのでしょうか?

私は、中学受験に成功すると勉強環境が整うという意味で間接的な影響はあるものの、直接的な影響はないのではないかと思います。税理士試験など難関資格の勉強を開始するのは早くて20歳ぐらいからです。中学受験は12歳の時で少なくとも8年は経っており記憶も薄れています。その間に思春期があり精神年齢も大きく変わっているので、試験に対する状況は全く違うと思います。

 

私の個人的な感想としては、中学受験は税理士試験や大学受験よりもシビアではないかと思います。

 

1. やり直しがきかない

中学受験はやり直しがききません。大学受験や資格試験なら時間やお金が許すのであれば、一度不合格になっても次にやり直すことが出来ます。大学受験で浪人して翌年合格することはよくあることです。資格試験においても1度目に不合格となり2度目に挑戦することは普通です。1度目の失敗を活かして2度目の試験で合格することはよくあります。私は大学受験も資格試験も2度目の合格確率が最も高いと思います。もちろん、1度目で合格することがベストで、そこを目指すべきです。

中学受験は小学6年生の時に1度限りしかチャンスがありません。不合格だったとしてもその経験を活かして勉強をやり直し、再度受験することはできません。複数の受験機会を設けている学校もありますが、1回目の試験からせいぜい数日しか期間が空いておらず、反省を活かして勉強をやり直す時間はありません。

もちろん、不合格になったら中学受験に挑戦したこと自体に意味がないと言っている訳ではありません。勉強は一生続きますので、小学生の時に一生懸命勉強した経験はその後の人生に活きると思います。ただし、中学受験自体をやり直すチャンスはないと言いたいだけです。

 

2. 成長途上である

大学受験や資格試験の場合、受験生は既に「大人」と言えます。基本的に受験校や受験科目、勉強方法などの必要な情報は自ら収集し、選択・決断する必要があります。高校を卒業後すぐに社会人として仕事を始めるという人も多数います。何のために大学へ行くか、何のために資格を取得するかは自分で考え、勉強するかしないを自らの責任で決めることが求められています。

一方で中学受験では、親や周りの大人は子供の将来に役立つと思って子共に中学受験をさせているのだと思いますが、本人が勉強や中学受験の重要性を十分に理解するのは難しいと思います。働くことはまだまだ先と思っており、将来の仕事ために今勉強する必要があるという考えを持つことは難しいと思います。

もともと能力が高い、知的好奇心が旺盛、闘争心がある子供は、自ら進んで勉強をして結果も出ると思いますが、そうでない場合には子供を勉強に向かわせること自体が難しいと思います。中学受験は素質がある子や早熟な子であれば、あまり苦労はないかもしれませんが、子供の成長(特に精神的な成長)に合っていない場合には、苦労するのではないかと思います。

 

3. 試験の多様性

大学受験では大学や学部によって試験科目や試験形式に多少の違いはありますが、基本的に難関国立大学の対策をしていればどの大学でも対応できます。

資格試験については、個々の資格試験はその資格のための適性を測るもので、試験範囲や試験形式は概ね一定しています。受験生自ら目的や適性に合わせて受験するかどうか自体を選択するため、そもそも資格を受験するという選択した後は、試験の多様性という問題は生じません。

中学受験では中学によって試験の傾向が大きく異なります。例えば、私立中学と公立の中高一貫校ではかなり問題の傾向が異なっています。小学生にとっては本格的な試験勉強の経験は初めてで、どの学校にも対応できる普遍的な力を付けるのは難しいと思います。

受験校の問題が本人の適性に合ったものでものでなければ、合格は難しいと思います。親と受験指導のプロである塾との協力で子供の適性を見極めていくことになりますが、個別性が強くかなり難しいことだと思います。

 

4. 中学受験の意義

私は、中学受験という選択肢のある地域に住んでいる子供にとっては、中学受験をして中高一貫教育を受けることは、難関校でなくても意味のあることだと思います。

公立中学は中の下ぐらいのレベル生徒を対象として落ちこぼれを出さないようなカリキュラムとなっており、大半の生徒にとっては物足りないと思います。本来、生徒の理解に応じたレベル別の授業をし、もっと全体のレベルアップをするべきです。

進学校は先取り学習をしていると言われますが、それほどすごいことをしている訳ではないと思います。公立中学3年間の学習内容を2年間で学習しているだけです。公立中学の授業の進度が遅すぎるのです。中3の後半数カ月を高校受験に費やさなくていいことも時間的な余裕を生まれる要因と思います。

中高一貫校では、その1年を使って、大学受験対策だけでなく、実験や研究、論文作成などの深い学習をすることが出来ます。教科書や問題集にとどまらない学習をどうするかが、各校の独自性の発揮のしどころで、中高一貫教育を受ける意義と思います。また、そのような学習で幅広い知識や経験を得ることとなり、結果的に大学受験にも好影響を及ぼしていると私は思います。

 

中学受験といえば、2月の勝者。

 

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。

スキマ学習ツールは自作に限る

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

以前の記事で間違いメモの活用について書きました。今回は、スキマ時間の学習ツールは自作した方がいいというお話です。

 

1. スキマ時間の学習とは

一般的にスキマ時間は、通勤・通学の間、仕事の休憩時間、家事の合間などが代表的でしょう。

スキマ時間に学習することと言えば、単語や語句の暗記、理論の暗記、キーワードの確認、ポイントのチェックといったところでしょうか。

講義の視聴は1区切りで30分ぐらいは掛かりますし、講義中にテキストも確認する必要があります。昼休みぐらい時間があればできるでしょうが、もはやスキマ時間ではないと思います。

 

2. スキマ学習ツール

スキマ学習の方法といえば、単語帳や暗記シート(赤いシートで文字を隠すやつ)、録音などを使った学習が定番でしょう。

税理士試験の予備校の講座を申し込むとポイントチェックのための小冊子や暗記用のアプリなどが付いてきたり、録音CDやDLデータが購入出来たりします。これらのツールは予備校が考えて作っているので良くできています。

これらのツールを活用したかというと私はほとんど使いませんでした。

・スキマ学習は補完的で重要でない。

・理論の暗記は理マス・理サブで十分。

・他人が作ったまとめ資料を使っても意味がない。

 

3. スキマ学習ツールの作成

スキマ学習ツールは自作するのが非常に効果的です。自作するためのアプローチは以下の通りです。

(1) 自分で重要な箇所を抜き出し、表や図をつかって分かりやすい説明を作る。

(2) 覚えるべきキーワードや文章を抽出して、色を下線などで強調する。

こうした作業をすることで自分の理解が深まり記憶が定着します。ツール自作の効果は非常に高いです。他人のツールを使ってもこの効果は得られません。

社会人の人は仕事でプレゼン資料を作ることがあると思います。他人の作った資料を読むより、自分でプレゼン資料を作った方が断然理解が深まるのと同じです。

私は、以前の記事で紹介した「間違いメモ」が主に計算の確認用で、全体の理解や理論については別にエクセルやワードで自分が気になる箇所のみまとめの資料を作っていました。

 

4. ツール作成の留意点

手書きでもPCでもiPadでもスマホでもスキマ学習ツールの作成手段は何でもいいと思います。ただし、ピペをしたり写真をとったりしただけでは何の意味もありません。例えば、スキマ学習用にテキストの該当箇所を写真にとってスマホで見られるようにしても理解の向上や記憶の定着には役立ちません。自分でまとめを作成するというプロセスこそが重要です。

・自分の理解が難しい論点や間違いやすい論点にフォーカスしてまとめを作成します。全ての論点についてまとめ作成する必要はありません。

・スキマ学習のために色々なアプリやグッズが売られていた便利になっています。ですが、このようなアプリやグッズを使ったスキマ学習ツールの作成作業に時間をかけすぎてはいけません。スキマ学習のためにテキストや講義資料をすべて写真とるなどというのは無駄です。アプリの操作に習熟してもITスキルの向上という点では意味がありますが、試験の合格には近づきません。

 

スキマ学習ツールは自作した時点で90%は目的達成です。理解も深まり記憶にも残っていることでしょう。使わなくても構わないと思います。

 

暗記シートがスマホで簡単に作成できます。最近は便利ですね。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。