こんにちは、T-アレックスです。
このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。
2023年の税理士試験が8/8~10に実施されました。受験された皆様お疲れ様でした。昨年もこちらの記事で試験の感想を書いています。今年の試験問題が資格試験として適切かという点について個人的な意見を書きたいと思います。
理論と計算は問題の質(「良」、「妥当」、「悪」)と量(多すぎ、妥当、少なすぎ)、全体の資格試験としての適切性の感想を★~★★★(「不適」、「いまいち」、「適切」)の3段階で書きます。
1. 簿記論
今年も個別論点の大問2題と総合問題1題という形式でした。第一問が特殊仕訳帳とソフトウェアに分かれているので個別論点3題となっています。
予備校 |
ボーダー |
確実 |
T |
54 |
62 |
O |
49⇒50 |
55⇒57 |
(1) 難易度
難易度は第一問の特殊仕訳帳とソフトウェアはともに「やや易~標準」、第二問の外貨建取引が「やや難~難」、第三問は製造業及び販売業の総合問題が「やや難~難」といったところでしょうか。
特殊仕訳帳は簿記検定で学習しているはずなので覚えていればできると思いますが、少し古い論点な気がします。とはいえ、奇抜な問題はなく、解答しやすいところで確実に点数を積み重ねることができたかが合否のかぎとなりそうです。
TとOでは第三問の評価が異なっています。Tは問題の取捨選択がし易いとして比較的高めのボーダー、Oは製造業でとっつきにくかったこともあり低めのボーダーとなっているようです。
(2) 分量
第二問と第三問の分量が多く、例年通り、時間内では解ききることができません。問題の取捨選択がカギとなっています。
(3) 総合評価
【計算】
問題の質:妥当
問題の量:多すぎ
【全体】★★(いまいち)
例年通り、問題の取捨選択をして素早く解答することが求められています。特に奇抜な問題もなく実力通りの結果になりやすい試験問題だと感じました。
問題自体の質は良いように感じますが、2時間という試験時間に対する問題量の多さは依然として問題だと思います。問題の取捨選択というテストのテクニックは税理士に必要な知識や能力とは無関係で、資格試験としての質は低いと思います。難しい問題に少しでも時間を使ったら不合格になるというのは納得感がありません。全体の問題量を調整して2時間で解ききれる分量にするか、試験時間を長くするべきです。
全体的な試験問題の質は3段階(★★★「適切」、★★「いまいち」、★「不適」)で「いまいち」というのが個人的な評価です。分量がもう少し調整されていれば「適切」だったと思いますし、逆に奇問が混ざっていたら「不適」と思います。
2. 財務諸表論
予備校 |
ボーダー |
確実 |
T |
67 |
79 |
O |
62⇒62 |
68⇒68 |
今年も理論2題と総合問題での計算1題という形式でした。
(1) 難易度
難易度は理論が「標準」、計算が「やや易」といったところでしょうか。
理論は臨時償却や減損処理における連結財務諸表上の資産のグルーピングの見直しなど予備校の講義であまり触れられていないであろう問題もありました。全般的に素直な問題で選択式の問題だけでなく記述も多く求められました。難易度が高く理論で差がつきづらかった昨年とは異なり、理論でも差がつきやすい問題だったと思います。
計算問題は例年通りの総合問題で難易度も高くなかったようです。
TとOでは理論の第一問と計算の第三問はほぼ同じような評価で、第二問はTがやや易しめでボーダー17点、Oが第一問と同程度で13点としています。
(2) 分量
分量は適切で2時間で解ききれた受験生もいたのではないでしょうか。
(3) 総合評価
【理論】
問題の質:良
問題の量:適切
【計算】
問題の質:妥当
問題の量:適切
【全体】★★★(適切)
今年は理論と計算のバランスも良く、実力通りの結果になりやすい試験問題だと感じました。
資格試験として「適切」でかなり良問だったのではないかと思います。これが相対試験でなく、税理士試験の概要|国税庁に記載の通り60点取れば合格できる絶対評価であれば相当良い試験だったと思います。
8/25にOのボーダーが修正されました。簿記論と財務諸表論は大きな修正はありませんでした。
税法の試験の感想は別途書きたいと思います。今回はここまでとなります。参考になればうれしいです。