T-アレックスの社会人のための税理士試験講座

社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報を発信しています。金融関係の仕事をしながら官報合格済み。その他キャリアや英語学習の情報も発信しています。

税理士試験の理論学習法(基本編)

こんにちは、T-アレックスです。

このブログでは、社会人が働きながら税理士試験を合格するための情報をお伝えします。

 

今回は、税理士試験の理論学習法(基本編)についてのお話です。

 

税理士受験生にとって避けて通れないのが理論の暗記です。たまに一度読んだだけで覚えられる人もいますが、多くの人は理論を暗記と記憶の維持に苦労していると思います。

私も理論暗記は苦労しました。できるだけ具体例を挙げながらお話をしたいと思います。合格レベルに達するには理論を仕上げる必要がありますので頑張りましょう。

 

なお、このブログでの例示は私の学習時点での資料を使用していますので、必ずしも最新の資料と同じとは限りません。ご了承ください。

 

1. 理論とは?

税理士試験で学習する税法の理論とは、法令のまとめです。法律の条文も項目ごとにタイトルがついています。例えば、法人税法では第二章納税義務者(第四条)、第三章課税所得等の範囲(第五条~第十条)となっています。これを理論マスター1-1では納税義務者と課税所得等の範囲という形で1ページ半程度にまとめています。

予備校のテキスト(理論マスター(T)や理論サブノート(O))では、重要な条文に絞る、例外的な項目を削除する、他の条項を参考している事項(○○条○○項に規定する××など)を分かりやすく記載することなどにより、覚えやすくしています。

理論マスター(T)の方が条文に忠実、理論サブノート(O)の方が覚えやすさを重視して簡潔な記載になっていると言われています。

私は理論マスター(T)を使用しましたが特に覚えにくいとも思いませんでした。どちらでも合格者は多数出ていますので好みの問題と思います。

 

2. 合格レベルの理論暗記

私は、合格レベルの理論暗記とは、以下のレベルに達していることだと考えています。合格者は上位1割ですので、上位1割の人はこのレベルに達していると思って間違いないです。

・A、B論点と改正論点をすらすら解答できるレベルで暗記している

・C論点を白紙にならない程度に暗記している

べた書きの問題はもちろん、応用問題(事例問題や横断的問題)も上記レベルに達していることが前提となります。暗記の精度が不十分で応用問題で高得点が取れるようになることはありません。

もちろん上記レベルに達していなくても運よく合格することもできますが、目指すレベルではありません。

 

3. 理論学習の基本

理論学習の基本として言われていることは以下の3点です。

(1)暗記の前に理解する

(2)重要な個所から暗記する

(3)計算の理論は計算と結び付けて理解・暗記する

 

(1) 暗記の前に理解する

上記のために予備校の講義やテキストがあります。予備校の講義のテキストでは、その規定が制定された背景や理由の説明をしてくれます。これらを聴いたり読んだりすることが理論の理解に重要です。理解がなければ暗記に時間がかかります。全ての理論の解説をするには講義時間が足りませんので、テキストの解説部分を一度は読んでおくことをお勧めします。

 

(2) 重要な箇所を暗記する

重要な箇所とは、①誰が、②何をしたら、③どう処理をするか、④その要件、という法令の骨子となる部分のことです。具体例については、別の機会に書きたいと思います。

 

括弧書きについても最初から暗記すべきものと、後回しにしてよいものがあります。

・暗記すべき括弧書き例

法人税の受取配当等の益金不算入】

内国法人が配当等の額を受けるときは、その配当等の額(完全子法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係る配当額にあっては、その配当等の額の50%相当額)は、各事業年度の益金の額に算入しない。

⇒ 括弧書きの部分は計算にもかかわる重要な箇所ですので最初から暗記する必要があります。

 

・後回しでよい括弧書きの例

法人税の有価証券の購入価格】

購入(信用取引等又はデリバティブ取引によるものを除く) 購入代価に購入費用を加算した金額

⇒ 信用取引等又はデリバティブ取引による有価証券の取得は出題の可能性が低いので後回しでいいと思います。

 

理論暗記の優先箇所については予備校の講義の中で説明があります。基礎期のミニテストではこの骨子部分の暗記が出題されます。まずは、予備校の講義やミニテストに従って重要な箇所から暗記をすすめ、徐々に周辺の事項に暗記の範囲を広げていきます。

 

法人税の受取配当等の益金不算入の例では、理マスでは

1.益金不算入額

2.配当金等の額

3.短期所有株式等

4.控除負債利子

5.完全子法人株式等の意義

6.関係法人株式等の意義

7.申告要件

の7つに区分されています。このうち、太字の1、3、5、6を優先して暗記します。

⇒ 1、3、5、6は理論の骨子となる部分で計算にも直結するので優先的に暗記します。その他は出題の可能性が低いので後回しにします。私も暗記しなかったのではないかと思います。

 

(3) 計算と結び付けて理解・暗記する

計算の理論については計算と結び付けて理解することが重要です。理論を思い出してあてはめを行いながら計算問題を解きます。

例えば、法人税の受取配当の計算問題では、原則の益金不算入額、完全子法人株式等の意義、関係会社法人株式等の意義の規定を思い出し、法令の規定の適用を考えながら計算問題を解くというイメージです。

 

計算問題との関連があまりない、定義関連(例えば、事業年度や納税地)の理論や申請・届出など手続関連の理論は計算とは別に暗記する必要があります。

 

4. 小見出しと要件の個数、画像イメージを覚える

(1) 小見出し

理マスや理サブでは暗記がしやすいように理論に小見出しが付けられています。内容とともに小見出しを覚えましょう。

例えば、相続税の債務控除の小見出しは以下のようになっています。

  1. 債務控除

  (1)無制限納税義務者等

  (2)制限納税義務者

  1. 控除が認められない債務
  2. 控除すべき債務

  (1)確実な債務

  (2)公租公課

  (3)国外転出時等

テストでは、小見出しを書き出した上で、小見出しに沿って暗記した理論を書いていくのが良いと思います。

 

(2) 要件の個数

次に、要件の個数を覚えるのもアウトプットに有効と思います。上記の相続税の債務控除の例では、1.債務控除で控除ができる債務の数は、 (1)無制限納税義務者等が2個、(2)制限納税義務者は5個となっています。個数を覚えておけば、解答が足りないときにひねり出すことが容易になります。

 

(3) 画像イメージ

理マスや理サブにどう記載されていたか画像イメージで記憶することも有効です。上記の相続税の債務控除の例では、理マスでは1.債務控除が1ページ、2~3が3/4ページ程度で記載されています。分量を画像イメージとして記憶しておくことで、アウトプット時に記憶を呼び起こしやくなるとともに、テストの時の解答の分量や解答時間を見積りやすくなります。

 

今回はここまでとなります。

よろしくお願いします。