こんにちは、T-アレックスです。
このブログでは、社会人が働きながら税理士試験に合格するための情報をお伝えします。
マツコデラックスさんがテレビ番組で国立大学には一定数所得制限をかけたらどうかとの発言をして話題になっています。合意形成が難しいので所得制限の実現可能性は低いと思いますが、今回は、大学受験や税理士試験とお金の関係について書きたいと思います。
1. 東大生の親の収入
東京大学が実施している学生生活実態調査2020年度版によると、親の年収が1,050万円以上の割合が42.5%、950万円以上の割合は53.9%となっています。回答数は約1,000で東京大学の学生数が約14,000人なので、サンプル数もそれなりにあります。
日本人の平均年収は400万円台半ばあたりなので、東京大学には高収入層の子供が入学していると言えそうです。
2. 高校別の東大合格者ランキング
高校別の東大合格者ランキングを見てみると以下のようになります。
(1) 団塊世代
1965年は第二次世界大戦後の第一次ベビーブーム世代(団塊世代;現在は70代半ば~後半)が大学を受験した時期となります。この頃は都立高校が上位を占めています。戦争で戦前のヒエラルキーや制度が一度リセットされてしまったので、スタートラインが概ね同じだったと思われます。皆が総じて貧しく当時の受験生の親世代の収入格差も少なかったのではないかと思います。
(2) 団塊ジュニア世代
1990年は第一次ベビーブーム世代の子供である第二次ベビーブーム世代(団塊ジュニア)が受験した時期となります。
この時期になると公立高校はトップ10のうち1校にとどまり、東大合格には親の収入が必要条件になってきているようです。
【受験の激化】
団塊世代からの変化の要因としては、都立高校の改革により都立高校が凋落した面もありますが、それだけではないと思います。
1960年代後半から1970年代にかけて受験世代の人口増加や大学進学率の増加によりメディアで「受験戦争」と呼ばれるほど大学受験が激化していきました。
都心部では1970年代後半から中学受験も広まっていきます。日能研や四谷大塚などの中学受験塾はこの頃から業務を拡大しサービスを高度化しています。
【受験のビジネス化】
私立中学・高校、大学受験や中学受験予備校の発展は、団塊世代が自らの経験で獲得したノウハウをビジネス化したものといえると思います。
団塊世代は限られた情報をもとに試行錯誤して受験に取り組みました。これを体系化しビジネスとして第三者に提供するようになりました。非常に有益な情報・ノウハウで、これなしでの合格は難しくなりました。
【教育格差】
団塊世代が社会の中心で活躍し始め、学歴による収入差がつきくようになり、「学歴信仰」や「学歴差別」といった言葉も出てきた時期でした。学歴の重要性を感じた団塊世代は、収入の拡大もあり自分の子供(団塊ジュニア)の教育に力を入れていきます。
受験のノウハウが蓄積されビジネス化されるにつれ、お金を払ってノウハウを獲得する必要がでてきました。
こうして、親の収入・教育力が大学合格に重要な要素となっていったと考えられます。
(3) 現在
2020年は団塊ジュニアの子供が受験をする時期です。晩婚化していますので30年後で比較しました。2020年になっても私立高校内での変動はありますが、私立優位の状況は変わっていません。80年代後半からのバブルとその崩壊、2008年のリーマンショックなど景気変動はありましたが、日本の社会制度は概ね安定しており、戦争前後のような大きな変化は起きていません。これまでのノウハウの積み上げが有効ですし、ノウハウの獲得のためにはお金がかかるという状況は変わっていません。
とりわけ都心部においては、ますます教育の開始時期が早まり、かつ、費用も増加しているようです。
3. 税理士試験の費用
税理士試験に掛かる費用についてはこちらにも記載していますが、5科目合格でOかTなら最低100万円程度かかります。院免の場合では、大学院の費用150-200万円+簿財と税法で50万円程度の合計200-250万円かかります。
税理士の資格を取得して収入を増やしたいというのも一つの動機と思いますが、収入を増やすために初期投資のそれなりの金額必要というのも何だかつらいものがあります。
4. お金は必要条件
大学受験にしろ資格試験にしろ、ノウハウをお金で買わなければ勝負になりません。お金は試験合格のための必要条件となっています。(ある程度)お金がなければ試験に合格はできないですが、お金があれば試験に合格できるものではありません。図で表すとこんな感じです。
受験ビジネスがこれほどまでに高度化してしまっている以上、ノウハウをお金で買わざるを得ません。個人でできることには限界があります。多くの人が長年かけて積み上げてきたものと同程度のノウハウを個人で短期間に獲得するのは容易ではありません。
昔は大学進学や資格試験(公務員試験を含む)は収入を増やすための逆転の手段の面もあったと思いますが、お金がないと大きく後れをとってしまいます。
身も蓋もない結論ですが仕方ないところです。
今回はこれまでとなります。